鉄道とホテルの二重苦、西武の「現状打破」戦略

「ピンチはチャンス」後藤社長が描く将来像

西武ホールディングスの後藤高志社長(撮影:尾形文繁)
新型コロナウイルスが鉄道各社の経営を直撃し、どの会社も株価が低迷している。中でも株価が大きく落ち込んでいるのが西武ホールディングス(HD)だ。7月22日の株価は1056円で年初来下落率は42%。同業他社と比べても苦戦を強いられている。
4~5月の在宅勤務やテレワークの進展で、西武鉄道の旅客運輸収入は大きく落ち込んだ。しかし、通勤定期客に限れば、電車には乗らなくても定期券は保持している人が多いため、落ち込みの度合いは小さい。西武の鉄道業における4~5月の通勤定期の収入も前年比2割減レベルにとどまっている。定期外客を含む鉄道業全体の収入は5割減程度。見かけほどは減少していない。
ところが、西武HDにとって鉄道と並ぶ売り上げの柱であるホテル業は4月の宿泊客数が前年比93%減、5月が97%減というありさまだ。これまでホテルの高稼働に大きく貢献してきたインバウンド需要は当面は期待薄。ほかの鉄道会社と比べホテル業のウエイトが高い西武HDの株価が低迷するのはある意味で当然の帰結ともいえる。
このような状況下において、同社の後藤高志社長は、「当社はこれまでもピンチをチャンスと捉え、企業価値を高めてきた」と話し、今後の経営に自信を示す。西武HDは、今回のコロナ禍にどのようなビジネスチャンスを見出そうとしているのか。7月初めに行った後藤社長へのインタビューを手がかりに、将来像を解きほぐす。

「リモート披露宴」に意気込み

ホテル業で後藤社長が「ぜひやりたい」と意気込むのが、「リモート披露宴」である。

新郎と新婦が都内のプリンスホテルで披露宴を行う場合、これまでなら、新郎と新婦の親族・友人が全国から上京して一同に介していたが、リモート披露宴の場合は、親族・友人は最寄りのプリンスホテルに集まる。主会場とサブ会場がネットでつながり、全国のホテルからいろいろな人に「おめでとう」と言ってもらう。オンライン飲み会の拡大版と考えればわかりやすい。

後藤社長は「全国にネットワークがあるプリンスホテルならではのアイデア。ほかのホテルとの差別化という意味では非常に有力」と自信を示す。地方在住者が都内のプリンスホテルに泊まらないので収入減になる可能性もあるが、各地のプリンスホテルで宴会場を利用してもらえるというメリットのほうが上回ると後藤社長は考えている。

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