鉄道とホテルの二重苦、西武の「現状打破」戦略

「ピンチはチャンス」後藤社長が描く将来像

品川プリンスホテルではビュッフェ形式のレストラン「リュクスダイニングハプナ」の営業を7月15日から再開したが、ここにも変革の取り組みがある。

同レストランは1994年の開業以来、「行列のできるレストラン」として人気を博してきたが、「ウィズコロナ」の時代には大勢の客がビュッフェコーナーに出向いて自分で料理を皿に盛るというスタイルに抵抗を示す人も出かねない。そこで、プリンスホテルでは、前菜、パン、和食、洋食、中華、デザート、ドリンクといったさまざまなワゴンが各テーブルを回り、スタッフが料理を取り分けるスタイルに変更したのだ。

テーブルを回るワゴンからスタッフが料理を取り分けるスタイルに変更した、品川プリンスホテルのビュッフェレストラン(記者撮影)

「好きなときに好きなものを好きなだけ食べられるというビュッフェのよさと安全をどう両立させるかを考えた結果、新しいスタイルが生まれた」とプリンスホテルの武井久昌専務執行役員は話す。

点心がワゴンで運ばれる香港の飲茶がヒントになったという。「料理を自分の席で選べるので、お客様どうしの会話が中断されることもありません」と、プリンスホテルのスタッフがメリットを説明する。

料金はディナーが大人6500円からで従来比で300円値上がりした。ワゴンを押すスタッフの人件費がかさんだのかと思ったら、「既存のスタッフで回しており、人数は増やしていない。価格改定は食材のクオリティーを高めた結果だ」とのことだった。

営業開始日の前日にあたる14日に催された発表会では、本来なら最初の段階でやってくるべきパンのワゴンが最後のほうに来るなどオペレーションの乱れも散見されたが、「この日は100人を超える報道陣が一度に着席したのでテーブルによってはワゴンの順序が前後したかもしれないが、15日以降は予約制なので、お客様のニーズに合わせて料理を提供できる」という。

今後、ほかのプリンスホテルのビュッフェレストランでもワゴンによる料理の提供を検討するという。コロナによって、新たなビュッフェのスタイルが生まれた。

旅客減を補うシェアオフィス事業

ホテル業だけではない。鉄道業では旅客の減少を補う方策として後藤社長が注目しているのが、シェアオフィスだ。西武グループが練馬駅の2階に開業したシェアオフィス「emiffice(エミフィス)」の稼動率が上がっているという。

エミフィスは2019年9月に開業。アフタースクール(学童保育)を併設し、子どもを見守りながら落ち着いて仕事ができるのが特徴だ。「子どもが自宅にいると在宅では仕事に集中できず、ストレスがたまるという人にとっては、シェアオフィスのニーズは高い」と、後藤社長は説明する。また、西武新宿線で連続立体交差事業が進んでいることから、今後高架下の開発余地が生まれる。これらのスペールをシェアオフィスとして活用していくことも検討するという。

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