院長不在が長期化、無医地区続出の恐れ、被災地が抱える医療問題


 「当院でも100床規模の増床を行う計画があり、そのほうが効率的。医療再建では単なる復旧ではなく、医療機能の集約が必要だ」と石巻赤十字病院関係者は指摘する。

このように被災地の地域医療のあり方について、関係者の認識が一致しているとは言いがたい。そもそも地域医療をめぐる議論が混迷しているのは、もともと東北地方では医療機関や医療従事者数が極端に少ないことに加え、住民の医療ニーズが行政に反映されているとは言いがたいという事情がある。とりわけ、自治体合併に伴い吸収された旧自治体住民の民意が届きにくくなっている。

取材の過程では、「合併さえしていなければ」といった声をあちこちで聞いた。わずか一人の医師の確保や、仮設診療所の建設すらできないという事態に直面して、医療関係者や住民は危機感を募らせている。

東日本大震災からの復興の過程では、医療の立て直しにも多額の資金が投じられるとみられる。だが、使われ方によっては、「医療不在」の地区出現が相次ぐ可能性もある。必要最低限の医療すら確保されないとしたら、「国民皆保険」は画餅に帰す。

(岡田広行 =週刊東洋経済2011年5月21日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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