院長不在が長期化、無医地区続出の恐れ、被災地が抱える医療問題

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 住民人口約4300人の石巻市雄勝地区(旧雄勝町)。勤務から外れていたことで津波に巻き込まれずに済んだ雄勝病院看護師や市の保健師らは、「この地域では診療機能の回復が早急に必要。市には、仮設の診療所を高台に設置してほしい」と口々に語る。というのも、石巻市中心部まで車で1時間半もかかるため、高齢患者の通院は困難だからだ。

雄勝地区の中心部では、津波によって役場や病院、学校、漁港などの施設が軒並み全壊の被害を受けた一方、大須や熊沢など高台の集落では町並みがそのまま残っている。それらの集落から雄勝地区の中心部まで、車で30~40分もかかる。

だが、雄勝地区の保健医療関係者と石巻市病院局の間には、大きな認識のギャップが存在する。

市病院局によれば、「現在のところ、雄勝地区では仮診療所での診療の再開は考えていない」(鷲見祐一・病院局事務次長)という。そのうえで、「隣接する北上地区との間で診療所のあり方を考えていかなければならない」(同氏)としている。つまり、雄勝地区での医療機関の再建は念頭にないという姿勢だ。

雄勝地区では震災前、民間の診療所および歯科診療所が各1カ所あったものの、津波で流出。医師が戻ってくる見込みが立っていない。こうした中で、病床を持たない仮設診療所のレベルであれ、雄勝病院の診療機能回復を断念した場合、雄勝地区は無医地区になってしまう。そうなると、住民生活への影響は深刻だ。

加えて雄勝地区では、介護サービスへの被害も甚大だ。地区内にあった特別養護老人ホーム(50床)および併設のデイサービス(1日利用定員20人)の事業者は震災を機に撤退した。ショートステイも利用できなくなっている。現在、訪問介護事業の再開により、わずか「4~5人」(雄勝地区の保健師)が介護サービスを利用しているというレベルだ。これに加えて診療機能が消失した場合、「人が住めなくなる」という住民の危機意識は大げさではない。

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