「ひざ痛」70代女性の7割が悩む病気の手術事情 片方が痛いなら両脚を手術したほうがいい?

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Q)右のひざがとても痛いです。左も、右に比べたらましだけど、痛い。このさい両脚とも手術してもらえませんか?

A)僕は一度に両脚の手術はしません。痛みが強いほうのひざが治り、歩けるようになると、もう一方のひざの痛みがなくなる、ということがあるからです。

それは手術した方の脚がまっすぐになると、長くなるためです。そのあとは、手術していない脚は少しつきにくくなるので、拙著『100年ひざ』で紹介した「足放り」と歩き方を変えるだけで治ってしまう場合が多いのです。

いますでに両方痛い人には、にわかには信じ難い話ですが、手術はいつでもできるので、痛い方だけまず受けてみて、自分で感じてみるのがいいかもしれません。

保存療法にがんばって取り組み、姿勢や歩き方を改善し、体重を減らし、太ももの筋力をアップした人ならなおのこと、その効果もあって手術する必要がなくなります。

患者さん自身の選択に僕は何も言えない

Q)「半置換術」をした後、スキーを再開した人がいるって本当ですか? 誰でもそんな激しい運動ができるようになるのでしょうか?

A)前に講演で話しました。主治医としては「手術をするなら激しい運動(スキー)は諦める」と約束をしていただいて、執刀しました。基本的にはどなたにも同様のお話をします。それは運動をしたら、早く人工軟骨が摩耗してしまうからです。

その方の場合は術後、「スキー、行ってもうた」と、キラキラの笑顔のビデオレターを頂戴しました。患者さん自身の選択に、僕は何も言えません。

大好きなスキーがまたできて、本当にうれしい。生きていてよかった。笑顔に添えられ た手紙にそうありました。ひざは大事だけれど、ひざを守るために人生の輝きを失う、というのも違いますよね。人それぞれ、自分の人生の主人公。そりゃ、思いどおりにしはる。 ご自分で責任を持ってすることには、僕はどうぞとお答えするようにしました。「10年長く生きられるより、あと5年大好きなスキーができるほうを選ぶ」と言われましたので。

個人的には、医者の言うことなんぞ、ときには聞かへん人のほうが元気で長生きするかも、とも思う(笑)。なにか困ったら、また相談に来てもらえば、主治医の僕はまた患者さんと向き合います。

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