「高賃金」の仕事ほど、生成AIに取って代わられる 「ルーチンワークほど危ない」は思い込みだった

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この論文で一番注目したいのは、「高賃金の職種が多くの影響を受ける」、そして「就業の障壁が高い職業ほど影響が大きい」としている点だ。

就業の障壁とは、職業に必要な教育レベル、必要な経験の量、オン・ザ・ジョブトレーニングの必要性の程度などのことである。

業界別でも、データ処理、情報サービス、証券・保険、出版業界が「影響大」、職業としては数学者、税理士、金融クオンツアナリスト、Web・デジタルインターフェースデザイナー、会計士・監査役、報道アナリスト・レポーター・ジャーナリスト、法務秘書・事務補佐、臨床データ管理者、気候変動政策アナリストなどが「影響大」としている。

これまでの研究は、「ルーチン化された反復的なタスクに従事する労働者(≒低賃金で就業難易度が低い)に及ぼす影響が大きい」というものが多かったので、まさに真逆の結果といっていい。

3億人分の仕事が自動化される?

生成AIが労働市場に与えるインパクトについて分析した研究としては、ゴールドマン・サックスが今年3月末に公開した「The Potentially Large Effects of Artificial Intelligence on Economic Growth(経済成長に対するAIの潜在的に大きな影響)」という調査レポートも注目を集めている。

このレポートでは、生成AIは労働生産性の向上を実現し、10年間で世界のGDPを7%、または7兆ドル増加させる可能性があるとしている。一方で、アメリカと欧州の職業分類に関するデータを使用して分析した結果、生成AIは現在の仕事の最大4分の1を代替できると推計し、それを全世界に拡大して考えると、3億人相当のフルタイム労働者の仕事が自動化されると指摘している。

とくに影響が大きい職種としては、事務/管理サポート、法律関係、建築/エンジニアリングを挙げ、反対に建物や敷地の清掃/メンテナンスなど肉体労働系の職種は影響が小さいとしている。

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