同じ保険大国でも米国と日本はまったく違う

民間保険は社会保険を補完するのが役割

もうひとつの変わった保険大国が日本です。高い福祉水準であるにもかかわらず、民間保険への依存度の高い不思議な国です。死亡保険への加入金額は平均すると、米国よりもかなり高い水準です。国の健康保険制度の給付水準が充実しているにもかかわらず、医療保険やガン保険が売れています。保障系生命保険では、日本は実質的に米国を上回る保険大国といえます。

国の社会保険がこれほど充実しているのに「保険に入らないと何だか心配でならない」と感じる日本人の保険観はどこから生まれているのでしょうか。経済発展と保険制度の関係は、一般的には次のプロセスをたどると言われます。

日本人の保険意識は発展途上のままか?

国の経済が発展し始める初期段階においては、人々は働きづめで日々の生活を支えることに精一杯です。この時点で国の社会保険は、ほとんど実態をなしていません。やがて生活に一定の余裕が生まれると、人々はその安定した生活をいかに維持するかに腐心し始めます。中間所得層の増大に伴う保険ニーズの膨張期です。この段階においても、通常、国の社会保険はまだ整備段階にあり、人々に安心を与え切るまでの機能を発揮できていません。

人々が民間の保険を求めるのはこのステージです。生命保険が爆発的に利用され始めるのはこの時代なのです。現在の中国やインドがこの段階に入っています。多くの中間所得層の人たちが、競うように民間保険に入ります。保険に入ることで中流意識が満たされる現象も生まれます。確たる根拠もなく「保険は入るもの」という保険観が醸成されやすいのが、この時代です。

やがて国の社会保険が整備され給付水準が充実してくると、それに呼応して民間生保の役割も変わります。国として社会保険は整備した。民間保険はその補完としての役割を果たすべし、となります。保険行政も、それまでの業界寄りから、消費者寄りの行政へと舵を切ります。こうして民間保険は、国の社会保険を補完しつつ消費者のきめ細かな個別のニーズに応えるような保険商品、保険サービスに変わっていきます。

ところが日本ではこの転換ができていません。失われた20年もその一因ですが、実はそれよりも早く転換する機会はありました。その機会を逸した結果、世界トップクラスの福祉国家に成長したにもかかわらず、日本人の保険観は相変わらず発展途上のままなのです。

次ページでは、バランスの取れている国は?
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