ANAHD社長「2兆円投資への懸念に答えよう」

イベントリスクへの備えはできている

片野坂真哉(かたのざか・しんや)●ANAホールディングス社長。1955年生まれ。79年東京大学法学部卒業、全日本空輸入社。営業推進本部マーケティング室レベニューマネジメント部長、人事部長などを経て、2013年ANAホールディングス代表取締役副社長。15年から現職。(撮影:今井 康一)
ANAホールディングスは昨年来、過去最大規模の航空機を発注した(2014年に70機、15年に追加発注15機)。今年1月には「2025年度までに国際線を大幅に拡大し、売上高を現在の1.4倍にあたる2.5兆円に伸ばす」と発表。一方で、ますます攻勢を強めるANAには業界内外で「野心的すぎるのではないか」という声も上がる。長期構想を取りまとめ、4月にANAホールディングスのトップに就いた片野坂真哉社長に聞いた。

――ANAは昨年、過去最大規模となる航空機を発注しています。カタログ価格で2兆円に迫る大規模な投資となり、多くの機材を抱えることで、「テロや疫病などのイベントリスクに耐えられるのか」と懸念する声もあります。

70機といっても、かなりの部分は機材の更新です。当社は、これまでもリーマンショックはもとより、鳥インフルエンザやSARS、タイの洪水、アイスランドの噴火など、さまざまなイベントリスクを経験してきました。この経験を活かし、常に年商の2カ月分以上の手持ち資金を確保し、突発的な事態にも対処できるようにしています。増資が必要なほどではなく、営業利益でキャッシュフローを確保できると考えています。

「ジャンボ」の流れを汲むのは「B777-9X」

――ANAがローンチカスタマーであるB787シリーズに加え、B777-9X、A321neoなど、新機種はどのように使っていきますか。

B787シリーズは787-8(標準型)、787-9(長胴型)、787-10(超長胴型)とフルスペックでそろえます。B787が革命的なのは、中型機で遠くに飛ぶ(ほど燃費効率がよい)こと。需要がそれほど多くなくても採算を確保することができますので、ANAの機材の主力として使います。

週刊東洋経済2015年5月16日号(11日発売)の特集は『最強のエアライン』。外国人観光客が押し寄せるなど日本の「空」にはかつてないチャンスが。日本の航空会社は勝てるのか。全50ページで追いました(上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

一方で、国内線で500席、国際線で450席の規模の大型機も不可欠です。特に欧米路線で、ファーストクラス付きの機材として使っているからです。ANAでは、ジャンボ(B747)が2014年3月に運航を終了し、今はB777-300ERが欧米の長距離路線を担っています。が、いずれは退役させていき、後継機としてB777-9Xを使います。

小型機のA321neoは可能性が高い。200席近くを構えられるし、ベリー部分に貨物がたくさん積めるからです。こういうバランスのいい小型機は国内やアジアで使っていきます。ベトナムくらいまでは飛べますから、非常にネットワークの可能性が広がります。

――機材以外の大きな投資は?

キャビンの快適さも磨いていかないといけません。(最新式の)フルフラットになるビジネスクラスのシートも、欧米やアジアの航空会社で導入が進み、もう目新しくなくなってきました。シートはもちろん、Wi-Fiや機内サービスも、業界全体で今後ガラッと変わっていくと考えています。たとえば、キャビンでお客様が自分の好きな映画をダウンロードできるような環境になるかもしれません。

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