ANAHD社長「2兆円投資への懸念に答えよう」 イベントリスクへの備えはできている

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――機内サービスの面で、ベンチマークにしている航空会社はありますか。

私が営業本部長としてキャビンの商品戦略を担当していたときは、シンガポール航空のエンターテインメント・プログラムがベンチマークでした。ただANAも(英国の航空サービス調査会社である)SKYTRAXの最高評価である5スターを3年連続で受賞するほどになりました。

このことは現場で大きな励みになっています。外国人の方に多く利用してもらうためにこれからは、日本人だけでなく外国人がANAにどういうサービスを期待しているのかをもっとマーケティングしていく必要があります。

――今後は、外国人も取り込んでいかなければならないと。

外国人の旅客数は増えてはいるのですが、まだまだ母数が小さい。たとえば日本とアジアを結ぶ路線は、日本発のビジネスマンの需要に支えられています。アジアの方にもうちょっと、ANAの飛行機に乗ってもらう取り組みをしないといけないですね。

ファーストクラスをアジア路線にも

――アジアを中心に、訪日外国人の数が急増しています。ANAはその需要をつかめていますか。

悩ましいことに、日本に来られるアジアの富裕層は、日本のデパートなどではたくさん買い物をするのですが、どうやら飛行機はLCC(格安航空会社)を使う方が多いようなんです。少しお値段の高いキャビンで、移動そのものもエンジョイしてもらいたい。移動そのものを楽しみたいという層は確実にいるはずですから、しっかりマーケティングを行わなければなりません。

これまでは、アジア路線はビジネスクラスまでしかなかったのですが、今年はファーストクラスの付いた飛行機をアジアに飛ばす予定です。ファーストクラスの付いた大きい飛行機をアジアに入れていくと、訪日旅行客だけでなく、アジアから日本を経由して米国まで飛んでいくアジア富裕層の需要も取り込むことができるはずです。

――世界でANAの存在感を高めるためには。

航空事業ももちろんですが、貨物やノンエア(旅行やパイロット養成など)も含め、ANAという存在を世界に示す必要があると思っています。貨物では2009年、沖縄に航空貨物のハブ拠点を作りましたが、アジアにもう一つハブを作ることを検討しています。

また、グループには全日空商事という会社があり、たとえばエクアドルのバナナを輸入したり、アジアで半導体の製造受託サービスを行ったりしています。今年3月末にはシンガポールで日本食のモールを運営する新会社を、現地の起業家と共同設立しました。グループ全体でANAの知名度を高めていきたいと考えています。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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