日本企業が優良投資家を集められない残念な盲点 「自己資本」「配当性向」という言葉に透ける課題
短期化した資本市場の中で、企業の取り組みを深く理解して寄り添ってくれる「優良な投資家」の争奪戦が世界中で繰り広げられています。では、優良投資家に振り向いてもらうためにはどうすればよいのか。投資銀行大手ゴールドマン・サックス出身の清水大吾氏が解説します。
※本稿は清水氏の新著『資本主義の中心で、資本主義を変える』から一部抜粋・再構成したものです
「ピラニア」がもたらす緊張感
観賞用や食用の魚を長距離輸送する際に、ストレスで魚が死んでしまうことがあるそうだ。しかし、水槽の中に何か1つだけ入れると魚が死ななくなるらしいのだが、それが何かおわかりになるだろうか?
答えは酸素でもえさでもなく、「ピラニア」だ。ピラニアを水槽に入れることで、ピラニアに食べられてしまいたくないという魚の生存本能がかき立てられ、ストレスのことなんか吹き飛んでしまうのだそうだ(実際は魚がピラニアに食べられてしまわないように、水槽に仕切りを入れるらしい)。
私はこの話を聞いてピンときた。いまの日本に必要なのは、このピラニアなのではないかと。もちろんそれは物理的にピラニアを放流せよということではなく、ピラニアがもたらす緊張感を意味する。
とても勇気のいることではあるが、われわれ自らの手でピラニア的な仕組みを取り入れていくことができれば、のんびりとゆでガエルになっている暇はなくなるはずなのだ。
上場企業の心構えを律し、資本市場のピラニアとして機能することができる主体が誰かというと、それは「投資家」であろう。
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