エヌビディア生成AIで「独走」ライバル不在の理由 高性能半導体を次々と開発、AIブームを後押し

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エヌビディアが高性能なAIチップを次々と開発する理由は、大規模言語モデルに基づく生成AIの進化に匹敵する半導体が必要だからだ。AIチップ1個の性能を上げることと同時に、そのチップを数千個並列接続してAIコンピュータの性能を上げられるように拡張性を持たせることが主眼となる。

また、並列演算を制御するためには、多数のAIチップをつないで制御するためのネットワークプロセッサも必要になるが、エヌビディアはそれも開発済みだ。

AIブームで躍進できた理由

なぜエヌビディアは、ここまでAI分野で圧倒的な地位を築くことができたのか。2010年代中ごろからAIが第3次ブームになったときに、ニューラルネットワークをモデルにしたアルゴリズムが使われた。

これは人間の頭脳のニューロンとシナプスを基本とした神経ネットワークを模擬したモデルである。このモデルの基本は、積和演算、すなわち多数の掛け算を足し合わせるという演算がGPUの演算と同じだった。

つまりGPUを、ほぼそのままニューラルネットワークの演算すなわちAIの演算に使えたのである。エヌビディアはAI向けのソフトウェアライブラリを揃え、多数のAIモデルを充実させ、GPUとともにAIビジネスを推進してきた。

データセンターにおけるAIコンピュータでは、大量のGPUをつなげてコンピュータを構成する。GPU同士がつながったネットワークシステムとなっており、それらのデータが内部で衝突しないよう制御するためのネットワークプロセッサが必要になる。同社はネットワークプロセッサを扱うMellanox社を2020年に買収している。

エヌビディアがAIに賭ける技術開発は止まらない。最新チップのGH200は、CPU+GPUで構成されている。行列演算結果でゼロが多くなりがちなニューラルネットワーク演算の効率を上げるため、密行列の演算にはGPU、疎行列にはCPUと、それぞれ使い分けることで性能と電力効率を上げている。

GPUが主力だったエヌビディアだが、CPUも手がけるようになった。生成AIへの意気込みは半導体にとどまらず、ソフトウェアの充実化も進める。AMDやCerebrasなどが後を追うが、当分は独走状態が続きそうだ。

津田 建二 国際技術ジャーナリスト

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つだ・けんじ

東京工業大学理学部応用物理学科卒業後、NEC入社。『日経エレクトロニクス』などで記者・編集者を歴任。2007年6月独立。現在、News & Chips編集長。

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