「1カ月に払う住居費が10万円安くなるというのは魅力でしたけど、それより何よりやすおさんのご両親と同じ家に住むのが、嫌でした」
そこで、「二世帯の話にはどうしても賛成することができない」と、首を縦に振らなかった。そのあたりから、だんだんと2人の意見も食い違うようになってきた。
「結婚式は、親兄妹と仲の良い友達を呼んで身内だけでやろう」と最初は話していたのに、やすおの父が「親戚や会社関係者も呼ばず、粗末な結婚式をするのは恥ずかしい。会社の上司を媒酌人に立てる。それが出世につながる」と自論を繰り広げた。
みやこは、「ウェティングドレスだけ着ればいい」と思っていたのに、やすおの母が、「和装、洋装、せっかくなのだから着たほうがいい」と言ってくる。
あれこれと口出しをされているうちに、みやこはだんだんと気が滅入ってきて、結婚に前向きになれなくなっていた。やすおに会ってもどこか不機嫌で、笑顔が作れずにいた。
「こういうのをマリッジブルーというのかな。せっかく決まったことなのだから、このまま結婚してしまったほうがいいのかも、と思ったのですが、どうしても、前に進めない自分がいたんです」
この結婚は破談にしたい
そこでみやこは、「この結婚は破談にしたい」と、まずは両親に告げた。みやこの母は落胆したが、父は「みやこが決めたことならそれでいい」と同意してくれた。そして、破談の意思をやすおに告げた。
もらった婚約指輪の代金30万円と結納金(100万円もらい半額の50万円は結納返しをしていたので、残りの50万円)計80万円をやすお側に支払い、結婚を破談にした。
「自分がわがままなんじゃないかと、何度も自問しました。でも、結婚は当人同士の問題じゃない。やすおさんと結婚するのですが、同時に義父母とも家族になって、一生付き合っていかないといけない。やすおさんは、ご両親には頭が上がらないタイプ。そんな家に嫁いだら、この先私がずっとつらい思いをする気がしたんです」
昭和の家族を描いた「サザエさん」ファミリーのような結婚は、今の時代ほとんどなくなり、核家族の形態が当たり前になっている。
ただ、いざ結婚となると、当人同士というよりも、家と家、親が口出しをしてくる結婚がまだまだ多い。
親が口出しをしてきて、親とパートナー側の意見が違うことで板挟みになったとしたら……。どんな結婚をすることが2人にとって幸せなのか、原点に返ってみてはどうだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら