これは、みちやが年収が高く、経済的に親から自立していたから言えた言葉だ。年収が低くて貯金もなく、結婚するときに親から結婚資金を援助してもらう場合は、親の反対を押し切って結婚していくのは難しい。
親がお金を出せば、子どもの結婚に口を出したくなる。それはよく聞く話だ。
結納は正式か、略式かでもめる
まき(34歳、仮名)は、あきら(35歳、仮名)からプロポーズをされ、それを受けた。笑顔で成婚退会をしていき、その数カ月後に「いろいろ揉めごとも多かったのですが、結納式も終えて結婚式の日取りも決まったので、報告がてら遊びにいってもいいですか」と、連絡を入れてきた。
何で揉めていたのか。その原因は、結納式をやるか、やらないかだった。
まきは、幼稚園から大学まで一貫した私立校で学んでいる。親は一人娘のまきの教育にお金をかけ、バレエやピアノなどの習い事をさせ、大切に育ててきた。
そんな親にとって、まきの結婚は、“子育て最終章”のようなもの。最愛の娘を嫁がせるなら、まずは双方親への挨拶、結納式、結婚式と、格式に則ってやりたかった。
相談所のカップルの場合、男性がプロポーズし、それを女性がそれを受けると成婚退会となる。その後は、それそれの親のもとに挨拶にいき、お相手を紹介して結婚の承諾を得る。その後は、格式ある料亭やレストランの一室で、両家顔合わせの婚約食事会をすることが多い。
この婚約食事会を正式に行う場合が、“結納式”になる。“結納金”や“結納品”など、金品を取り交わす式だ。結納金は男性が“結婚の準備金”として女性側に払うもので、金額は地域や家によって違うのだが、100万円から150万円が相場とされており、受け取った女性側はその半額を結納返し金として、男性側に返す。
結納式をやりたいまきの両親に対して、あきら側は「今の時代だから、正式な結納式はやらずに、顔合わせの食事会をすればいい」と思っていたらしい。結納金もなし。「その代わり2人の結婚の準備金として、あきらの銀行口座に100万円を振り込む」と言っていた。
これに対して、まきの両親が快く思わなかった。特に父親が怒り心頭に発した。
「息子に準備金として100万円渡すなら、なんで結納金という形が取れないのか。娘が向こうの姓になって嫁にいくということを軽く考えているんじゃないか」
両親がこう言っていることをあきらに伝えた。最終的にはあきらの親が折れて、結納式を行い、結納金100万円を包んだ。そして、まきの家は50万円の結納返しをした。
当時のことを、まきがこんなふうに振り返った。
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