心理的安全性のために幹部が今日からすべきこと まずはメンバーの「トリセツ」をつくろう

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これを間違えると「ワイワイガヤガヤ、笑い声が聞こえる楽しくて優しい職場をつくること」が目的になる。心理的安全性が高いと会話が活発で笑いも多いが、成果が伴わなければ意味がない。

心理的安全性にはさまざまな定義があるが、私は次の2つが実現している状態だと定義している。

・メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられること

・お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されること

パワハラや人権侵害になるような言動は言うまでもなく御法度だが、仕事に関して厳しいことを互いにストレートに言ったり、考えの異なる人同士が意見を戦わせたりすることは必要だ。心理的安全性があるからこそ、そうした発言ができるようになるといえる。

人に優しく、結果に厳しく

日本企業で多く見られるのは、「人に優しくないが、結果に優しい」会社だ。パフォーマンスをきちんと測定せずに、課した成果目標が未達でも解雇しないが、サービス残業が多かったり、言いたいことが言いにくかったりと、その人らしく働ける環境がつくられていない。

私がよく言うのは「人に優しく、結果に厳しく」。人とタスクを区別するアプローチだ。例えばチームのメンバーが作った商品紹介文に多くのミスがあった場合、「あなたはまともな文章が書けないの?」というように、人を否定するようなフィードバックをしてはいけない。「昨日は残業してまでこの文章を考えてくれてお疲れさま。ただ、この表現はお客様の誤解を招くので、再検討してくれないか」と、人をねぎらいながら、タスクを否定する。このようなアプローチは心理的安全性を損ねていないし、組織にとっても個人にとってもためになる。

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