米国の学者8人、「私なら70年談話をこう語る」 アジアの平和のために何を語るべきか
<李容碩(イ・ヨンサク)>
戦後70年が過ぎ、鮮明だった戦争の記憶も過去の歴史の中へ少しずつ埋もれていこうとしていますが、戦争の引き起こした悲劇をもう一度振り返ってみましょう。日本が起こした戦争によりアジア太平洋地域に住む数え切れないたくさんの人々の生活が破壊され、さらに多くの 日本兵の人間性が奪われ、罪のない日本人が苦痛にさらされました。戦争の爪あとは今なお多くの国と国民に影を落としています。かつての日本軍の行為に深い後悔と哀しみを覚えつつ、地域の平和維持と協力に邁進する覚悟を新たにします。
戦争と日本の植民地支配はおびただしい苦痛を生みましたが、特に植民地支配によって苦しんだ女性たちの赦しを請いたいと思います。戦争と暴力はいつの時代にも、男の愚かさによって引き起こされ、その犠牲となるのは子ども、老人、女性でした。日本軍の下、屈辱を受けた女性たちへ心からお詫びを申し上げ、その尊厳を取り戻すために努力を怠らない事を約束します。現在は女性が社会で輝く時代です。戦争で傷つけられた女性を支援し、女性が政治や社会でより積極的な役割を担うことのできる未来作りに貢献します。
また、戦後日本国民が築き上げてきた功績にも感謝の意を表します。戦後の混乱の中、いかに日本人が立ち直り、平和を大切にしてきたか。同じ日本人として誇りに思います。日本はかつて戦争を起こし、近隣諸国を苦しめ、その過ちの代償として多くの無実の自国民を犠牲にしました。この経験を見据えれば、我が国は今後の世界平和と安定に重要な貢献ができるはずです。
現在、世界情勢は新しい困難に直面しています。国際舞台におけるアジアの台頭は、新たな機会と同時に、難題も提示しました。しかし、難題と言えども、開かれた心で話し合えば必ず解決できると信じます。そのために私は、アジア太平洋地域における誤解や意見の違いを解消する交渉役をすすんで引き受けます。アジア太平洋における課題だけでなく、現在世界は、気候変動、自然災害、経済危機、テロリズムという共通の脅威に直面しています。我が国も、近年の状況を見れば明らかなように、これらの脅威からまったく無傷でいることは不可能です。日本政府はこれらの課題の解決のために、米国をはじめとする同盟国そして国際社会と協力していきます。
最後に、終戦70年を記念する新たなプロジェクトを発表します。戦争の傷と記憶が歴史に埋もれてしまう前に、日本に大規模な戦争記念館を建造します。このプロジェクトは、いままでにない国際協力です。日本だけでなくアジア太平洋地域で戦禍を受けたすべての国から、戦争の歴史、記憶、傷跡を新しい記念館に収録します。記念館の設計と建造は、諸外国からのアイデアや提案を取り入れた世界的な取り組みとします。過去の過ちに学び、賢くなり、前進しようではありませんか。この記念館が、日本国民と諸外国の友人たちがの平和への歩みを加速する契機になることを信じます。
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