米国の学者8人、「私なら70年談話をこう語る」

アジアの平和のために何を語るべきか

<ダニエル・スナイダー>

Daniel Sneider ●スタンフォード大学 ショレンスタイン・アジア太平洋研究所副所長。専門分野は米国の安全保障政策、日本と韓国の外交政策、アジアの先端技術進歩

本日は第二次世界大戦がアジアで終戦を迎えた記念日です。戦争は、アジアの多くの国々に死と破壊をもたらしました。300万人以上の日本人が戦争で命を落としました。日本は壊滅的な被害を受け、2つの都市では、世界で初めて原子爆弾が使用されました。数千万人の中国人、韓国人、フィリピン人、ビルマ人、ベトナム人、インドネシア人、マレー人、太平洋諸島の住民など多くが、この悲惨な戦争の犠牲となりました。連合国側の兵士たちと日本のために戦った兵士たちが、中国から太平洋諸島に至る戦場に今も埋葬されています。

悲惨な戦争の犠牲になった人たちすべてのため、私は敬意と厳粛な心をもってこうべを垂れます。国によっては、この日は勝利を祝う日、不正義、占領、植民地支配からの解放を祝う日です。日本にとっては、敗北と再生の日です。私たち日本人は、その苦しみを思い出し、過去の選択を反省し、戦後70年の平和の出発点となった教訓を再確認しなければなりません。

本日は回想の日です。ドイツの大統領、リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー氏がヨーロッパの戦後40周年記念の祝典で語ったように、「回想することは、出来事を公正に、事実を歪曲せずに思い出し、私たちの実存の一部とすることです。そのためには、私たちは大いに誠実であることが必要です」。

戦時中の日本人は、国家に仕え、日本のために戦い、苦しんでいるのだ、と心から信じていました。その愛国心と自己犠牲に敬意を払わなければなりません。しかし、戦争が指導者たちの誤った決断の結果であるという事実から逃れることはできません。1930年代、軍国主義者とその支持者たちが、明治維新から育っていった民主主義と立憲政治を衰退させ、暗殺と政治的弾圧という手段により、国家を戦争への道へと追い込みました。

近隣での植民地支配に飽き足らず、軍国主義者たちは中国北東部および東南アジアでの帝国主義拡大政策に乗り出し、中国との全面戦争を開始し、最終的には太平洋戦争に突入してしまいました。軍国主義者たちは結局日本に破壊をもたらし、日本国民を苦しみに陥れました。

私たちは、歴史的真実から逃れられませんし、そうしたいと思ったこともありません。この回想の日、この場において、私の先任者たち同様、痛切な反省の意を表し、心からの謝罪を表明します。

ただし、目標は単なる謝罪ではないということもはっきりさせておきたいと思います。謝罪は、かつて日本の侵略の犠牲となった国々との和解を達成する過程の一部でしかありません。謝罪と免罪の両方があって初めて和解が達成されるのです。我々日本人とかつての日本が傷つけた国々の人々とが、後の世代にも続けて回想していくことで和解するしかありません。

戦後70年間の我が国の歴史は、戦争から少なくともいくばくかの教訓を学んだことの証しであります。我が国は、平和のために尽くしてきました。日本国憲法は、国権の発動としての戦争と、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇または武力の行使を放棄しました。自国防衛を除いて、我々は決して武力を行使することはありません。我々は、この誓いを実行してきました。すべての国、特にアジアの国々に対し、この崇高な理念に賛同するよう呼びかけます。

最後に、過去の姿と永遠に別れを告げ、すばらしい文明と文化を尊ぶ新しい日本を作るために尽力してきた日本国民に敬意を表しなければなりません。そして、今一度、日本の国際復帰を助けてくれた国々、かつての敵対国でありながら現在の同盟国、友好国である国々、アジア太平洋地域および世界の平和な未来を我が国とともに築こうとしている国々に感謝を申し上げます。

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