米国の学者8人、「私なら70年談話をこう語る」 アジアの平和のために何を語るべきか

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デヴィッド・ホロウェイ>

David Holloway ●スタンフォード大学 歴史学部・政治学部教授、フリーマン・スポグリ国際研究所シニアフェロー。専門分野は核政策をめぐる国際政治史、ソ連の安全保障対策

終戦から70年が過ぎました。戦争の犠牲となられた内外の何百万もの人々を思うと、今も心が痛みます。これらの人々の記憶に敬意を示し、今の私達にとっての戦争の意味を考えなければなりません。

日本は敗戦後の荒廃から立ち上がり、繁栄する社会を実現しました。この成果を我々は誇りに思い、また米国を始めとする世界各国から受けた援助に感謝します。私たちは70年間平和の中で暮らしてきました。今日我々が享受する繁栄が可能になったのはこの平和のお陰です。

20年前、村山首相は意義深い歴史的表明を行いました。

「我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」

村山首相がこれらの感情を厳粛に表現したのは正しいことでした。今、同じ厳粛さで村山談話を踏襲したいと思います。それが日本の首相として正しいことだからです。

我々は激動の世界に生きています。従って戦争と戦争に導く政策への恐怖を忘れないことは特に重要です。原子爆弾による破壊を経験した唯一の国である日本にとって、これは特別な義務であります。この経験は平和を重視する我々の外交政策に欠かせない基盤です。

戦争と平和の問題が国際的に顕著になっている今日、我が国は、国際社会の責任ある一員として、原則に従いながらも柔軟性を持った外交政策を進める義務があります。

原則とは平和と民主主義のことですが、その追求において我々は柔軟になる必要があります。我々は他の国々、特にアジア太平洋地域の近隣諸国、米国や欧州諸国と協力しなければなりません。協力を妨げる障壁があるならそれを取り除かなければなりません。村山談話を踏襲することが重要なのはそのためです。平和で豊かな未来の追求を過去によって妨げられてはならないのです。

より良い未来のために障壁を克服しなければなりません。過去に捕らわれないために過去と向き合わなければなりません。我々は未来に注意を払わねばならないからです。不確実な時代には、未来についての真剣で創造的な考察が不可欠です。すべての人々にとって平和と繁栄が現実となるような地域のビジョンを構築するために近隣諸国や同盟国と協力する必要があります。そのようなビジョンは、我々が近隣諸国や同盟国と更なる信頼を築くのに役立つでしょう。

アジア諸国との協力関係を強化するために、2つのことを提案します。まず、他の国々と可能なかぎり共同して、20世紀における日本と近隣諸国の関係に関する歴史の研究を強化します。さらに、近隣諸国や同盟国と共同で、アジアのすべての住民が平和と繁栄を享受できるような道を追求します。非常に困難な課題ですが、国家に命を捧げた方々の鎮魂のためにも、この目標を是が非でも達成しようと思います。

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