実は、この作戦に秀吉は乗り気ではなかったらしい。それでも、秀吉の甥である三好秀次が総大将として、三河に乗り込むことを望んだのか、作戦を決行している。秀吉もまた、池田恒興や森長可らに挽回の機会を与えたいと思ったのかもしれない。
秀吉は直感に従わなかったことを後悔
しかし、秀吉は、最初の直感に従わなかったことを後悔することになる。作戦を事前に察知した家康は4500の兵を先発させながら、自身も信雄とともに、9000の兵を率いて、三好軍を追撃。「長久手の戦い」において、敵将の池田恒興と池田元助の親子、そして、森長可らを見事に討ち取ることに成功する。
家臣が拾った貴重な勝ち星を、手紙力で拡散させた家康。緒戦での小さな勝利を、大きな勝利につなげることとなった。
【参考文献】
大久保彦左衛門、小林賢章訳『現代語訳 三河物語』(ちくま学芸文庫)
大石学、小宮山敏和、野口朋隆、佐藤宏之編『家康公伝〈1〉~〈5〉現代語訳徳川実紀』(吉川弘文館)
宇野鎭夫訳『松平氏由緒書 : 松平太郎左衛門家口伝』(松平親氏公顕彰会)
平野明夫『三河 松平一族』(新人物往来社)
所理喜夫『徳川将軍権力の構造』(吉川弘文館)
本多隆成『定本 徳川家康』(吉川弘文館)
笠谷和比古『徳川家康 われ一人腹を切て、万民を助くべし』 (ミネルヴァ書房)
平山優『新説 家康と三方原合戦』 (NHK出版新書)
河合敦『徳川家康と9つの危機』 (PHP新書)
二木謙一『徳川家康』(ちくま新書)
日本史史料研究会監修、平野明夫編『家康研究の最前線』(歴史新書y)
菊地浩之『徳川家臣団の謎』(角川選書)
太田牛一、中川太古訳『現代語訳 信長公記』(新人物文庫)
野田浩子『井伊家 彦根藩』(吉川弘文館)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら