「水曜日のダウンタウン」が"希望の星"とされる訳 史上初の1億再生超が暗示するバラエティの未来

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たとえばドッキリは昭和から現在までバラエティの定番であり、近年ではYouTubeでもよく見られるようになりました。しかし「水曜日のダウンタウン」のドッキリは、「『ベッドの中に人がいる』が結局一番怖い説」「芸人解散ドッキリ、師匠クラスの方が切ない説」「落とし穴に落ちたのに一向にネタばらしが来ないまま日が暮れたら正気じゃいられない説」など、他番組やYouTube動画では見られない斬新な切り口を連発してきました。

さらに、悪意をベースにした企画ばかりではないことも当番組の強み。「徳川慶喜を生で見た事がある人 まだギリこの世にいる説」「先生のモノマネ プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」「新元号を当てるまで脱出できない生活」「おぼん・こぼん THE FINAL(解散ドッキリ)」「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」がギャラクシー賞の月間賞を受賞しました。硬軟織り交ぜた企画と予定調和をよしとしない演出は他番組との差別化となり、「自ら選んで見たいものを見る」配信での視聴につながっています。

ただ、「水曜日のダウンタウン」は終始、順風満帆だったわけではありません。特に2014年春の放送開始から2010年代後半までは、たびたび“世帯視聴率”の低迷を複数のネットメディアに叩かれていました。いくつかの企画を「やりすぎ」「危ない」などの批判につなげて打ち切り説を報じられることが少なくなかったのです。

実際のところ、そのようなネットメディアの批判は明らかなミスリードでした。「水曜日のダウンタウン」はスポンサー受けがよく取引での指標となりやすい“コア層(主に13~49歳)の個人視聴率”は高い数値を記録していたのです。

2020年代に入って評価一変の理由

そんな逆風に流されることなく、企画のクオリティを保ち続けたことで、2020年代に入ると風向きが一変。まず2020年春に視聴率調査がリニューアルされ、民放各局がコア層の個人視聴率獲得に向けた番組制作を一気に進めるようになりました。民放各局の変化によってネットメディアは世帯視聴率という指標を使いづらくなり、「水曜日のダウンタウン」を叩く材料がほぼ消滅。逆にコア層の個人視聴率を獲得できるバラエティの代表格として称えられる機会が増えました。

さらにコロナ禍の巣ごもり需要を経て、配信でのテレビ番組視聴が浸透。全体の配信再生数が急増したことで、視聴率に次ぐ評価指標として組み込まれはじめました。そんな配信をめぐる状況が劇的に変わる中、「水曜日のダウンタウン」はTVerの再生ランキングでは常に上位をキープするほか、前述したように「TVerアワード バラエティ大賞」を2年連続受賞。“視聴者に選ばれるNo.1バラエティ”というポジションを確立したのです。

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