社会人にこそ必須になるスキル「戦略的な勉強」 時間がなくても最大効率を叩き出す勉強法

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大学受験などは、とくにそうですね。出題範囲は決まっているので、ものすごく時間をかけて、それを網羅するような勉強をすれば点数は取れます。

このような勉強の体験が染み付いていることにより、「気合で時間をかけることこそが正しい」と大人になっても信じている人が多いことに、私は問題意識を抱いています。

いっぱいやったらできる。そんなことは当たり前なんです。

もし、あなたの人生において、勉強が一番大切で、勉強が一番好きなことだとすれば、ゴリ押しで時間を使ってもいいと思います。

でも、皆さんには、そんなヒマはありませんよね。

たとえば、社会人の方ならば、仕事や家庭、趣味と両立しながら、勉強もしないといけないことでしょう。

勉強に時間を割きつつも、ビジネススキルも磨いて、社内でのパフォーマンスをきちんと高めて、最終的なビジネス上の成果を出さないといけない。

それなら「とにかく時間をかけて量をこなそう」なんて言っていられません。

ここで気づくべきは、「時間」はみんな等しく有限だけれども、「効率」はやり方によって変えられるということです。

「たくさんやったほうが成果はでる」というのは、確かにそうです。ただ、戦略を立てるか立てないかで、たくさんやったときの効果はまったく違ってきます。

また、どうせ勉強するなら、ちゃんと戦略を練ったうえで、「時間あたりの学習の生産性」を最高に上げた状態で行ったほうがいいでしょう。

勉強のコツは、全体像をつかむこと

では、どうやって戦略を立てればいいのでしょうか?

戦略というのは、全体像が見えていないと立てにくいものです。

たとえば、初めて本格的に野球というスポーツをするとき、あてずっぽうにやってもなかなか上達しません。

「とりあえずバッティングしてみよう」とテキトーにバットを振り回しても、いつまでもボールには当たらない。

それどころか、変なクセがついてしまうかもしれませんよね。

だからたいていの場合、コーチなどの「すでにできる人」に教えてもらうことが推奨されます。

もしコーチがついてくれていれば、「まずはこの練習をやってみましょう」と、今の自分のレベルに合ったトレーニングを教えてもらえます。

すでにできる人には「できるようになるまでのルート」、つまりゴールまでの全体像が見えているからです。

だから、「今のあなたがどの位置にいるのか?」「ゴールにたどり着くには何が足りないのか?」と、逆算して判断することができるのです。

勉強でも同じです。

まずはできるようになるまでの「全体像」を把握するのが大切です。

そうでないと、ひとりでひたすらバットを振って奇妙な打撃フォームを身につけてしまったり、肩やヒジに負担のかかる投げ方をしてケガをしたりするはめになってしまいます。

世の中には「もうすでにわかっていること」がたくさんあります。

「こういう局面なら、こうするのが普通です」「こうするのが成功確率の高い方法です」と。定石の勝ちパターンがあるわけです。

とくに、勉強のように長い間行われてきたことには、「もうすでにわかっていること」がたくさんあります。「資格試験対策では、出題形式に慣れるために過去問を解いておく」「単語を習得するには、使用頻度が高いものを収録した単語帳からやってみる」といった基本的な勝ちパターンが存在します。

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