ファンド連敗でも「ツルハ包囲網」が強まる必然 カギ握る「大株主イオン」創業家の苦難は続く

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8月1日、イオンは、オアシスも主張している「大手同士の再編の重要性は当社も認識している」としたうえで「(ツルハHDとの)良好な関係を維持・強化」するために、会社提案に賛成するという意味深な公表をしていた。

経営陣の刷新を迫られる中、イオンが味方に回ったことで「ツルハHDにかなり恩を売った」(複数の業界関係者)。もしイオンがオアシス提案を支持していたら、ツルハをのみ込む業界再編も予想できた。

イオンにとってドラッグストアはどんな立ち位置なのか。イオンは現在、前述のツルハHDへの出資に加え、子会社でありドラッグストア業界1位のウエルシアHDや、9.98%を出資するクスリのアオキHDとの関係が強い。このドラッグストア3社は、イオンを中心に医薬品のPB供給や薬剤師の教育等で連携するハピコムグループの一員でもある。

イオンの小売り事業で群を抜く収益力

イオンのGMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウント)事業、そしてウエルシアHDに該当するヘルス&ウエルネス事業を小売り事業と見た時、ウエルシアHDは売上高に相当する営業収益の15%程度に過ぎないが、成長率は2023年2月期で前期比11.5%増と群を抜いている。

本業の儲けを表す営業利益に至っては、イオンの小売り事業の半分以上をウエルシアHDが稼ぐ。食品などが中心のスーパーマーケットと比べて、ウエルシアHDは医薬品や化粧品の売り上げ構成比が高く、好採算な調剤事業の店舗併設率も7割を超えており収益力が高い。

好業績で純利益水準も高いウエルシアHDの同年度の配当金総額は6708億円で、同社に50.6%を出資しているイオンは恩恵を受けている。イオンにとってウエルシアHDは、まさに優良子会社なのだ。

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