社員だから気づく、企業が危機に陥る思わぬ予感 経営者は過去の成功体験からサインを見逃す

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今、現場で何が起きているかを勘違いする「お決まりのパターン」(写真:Ushico/PIXTA)
「企業の成長が失速するのは、経営者が長年にわたって信じてきた、あるいは心の底から信じている前提にもはや正当性がないからだ。基本的に、彼らの知っていることはもはや真実ではない」(オルソン、バン・ビーバー、ベリー、2008)
これは、かつての有力企業が突然財政難に陥る最大の理由を指摘した言葉だ。別の言い方をすれば、経営陣の立てた戦略のもととなっていた前提を、環境における何かがくつがえしたにもかかわらず、その状況に対応できないということである。
コロンビア大学ビジネススクールで教鞭をとり、経営戦略の名著『ディスカバリー・ドリブン戦略』を執筆したリタ・マグレイスは、かつて栄華を誇っていた会社が危機に陥るプロセスをつぶさに観察している。

会社の危機を予見する「14のサイン」

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かつて組織を成功に導いたさまざまな要因と、その組織を取り巻く現在の環境とのずれがしだいに大きくなったため、やがて急激な経営不振に陥ることがある──組織の崩壊にまでいたらないとしても。

冒頭の言葉を記した企業分析の専門家オルソン、バン・ビーバー、ベリーらは、そうした売り上げの落ち込みが徐々に起きるものではないことを突き止めた。

私は自著『競争優位の終焉』のなかで、いくつかの早期警報サイン──優位性が消滅しつつあることを示すサイン──を列挙した。これらのうち、あなたの会社の上層部はいくつ認識しているだろうか?

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