その点、「前年どおり」は“安全な近道”です。みんなに意見を聞く必要がありませんし(もちろん本当は「前年どおりでよいか」を確認したほうがいいのですが、聞かなくても文句を言われることは少ないので、多くの場合は省かれます)、苦情を受けるリスクも高くはありません。
もし何年もずっとかかわり続ける組織であれば、「手間やリスクを引き受けてでも、活動を見直そう」という人が出てきやすいのかもしれませんが、PTAの場合、保護者がかかわるのは子どもが学校に在籍する6年(あるいは3年)、または役員を引き受けている間だけのことです。
「そこまでの手間はかけられない」と判断して、「とりあえず前年どおり」を踏襲し、お役目を終える人が多いのも無理はありません。
そのため、「これ、誰のため?」と首をひねるような仕事でも継続されやすいのです。
もうひとつの理由は、「子どものため」というPTAの目的が、漠然としすぎているからではないでしょうか。
「子どものため」というと、かなり広範囲な活動が含まれ、削りづらくなってしまうのです。
たとえば、昔からPTAで行われている「保護者(多くの場合、お母さん限定)のバレーボール活動」。「不要では?」という声もしばしば聞きますが、「保護者同士が親睦を深めれば、間接的に子どもにいい影響を与える」と考えることもできます。
ほかにも、花壇の手入れ(学校の手伝い)や広報紙の発行、保護者向けの講演会、ベルマーク活動……等々、ほとんどの活動が「子どものため」ということができてしまいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら