遠藤:病院や介護施設の給食で大切なのは、患者さんや入居者一人ひとりの病状や状態に合わせて対応することですよね。どんな工夫をされていますか?
大隈:介護施設では、「白米」と「おかゆ」はもちろん、おかゆも「全がゆ」から「三分がゆ」まで段階ごとに用意します。自分の歯でかみづらい方には、おかずも「一口サイズ」「きざみ」と「極(ごく)きざみ」と刻み方を変え、かめない方のための、「ゼリー食」「ソフト食」も用意します。
遠藤:そこまで細分化されているのですね。ふつうの食事を用意するのも大変なのに、そのうえイベント食まで調理するとなると、栄養士や調理師の方々も大変じゃないですか?
病院でも「母が息子のために作るお弁当」を提供したい
大隈:ええ、現場は日夜奮闘しています。でも、事業の出発点が、私の祖母が息子、つまり私の父親に毎日持たせていた「お弁当」が職場で評判になり、「自分たちの分も作ってほしい」と同僚から頼まれたことだったので。「母が息子のために作るお弁当」を病院食でも提供したいと思っています。
遠藤:手間暇をかけて手作りしたひな祭りの「そら豆のすり身揚げ」も、「大切な人に食べてもらいたい」という気持ちの延長線上にあるわけですね。
大隈:ありがたいことに、ひな祭りの食事は、フェイスブックでも紹介され、お礼のコメントも添えられていました。利用者さんたちの「おいしかった」という言葉が、栄養士や調理師の励みになっているようです。
遠藤:私が現場を見学したときも、現場で奮闘するみなさんが誇りを持って働いている姿が印象的でした。もうひとつ感動したのは、「手描きの盛り付けイラスト」です。このイラストを見たとき、現場で働く人の「創意工夫」ぶりを、まざまざと実感させられました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら