大隈:盛り付けの指示は、それまでは、食器ごとに料理名を書いた付箋を貼るだけでした。しかし、たとえば「豚の角煮」とだけ文字で書いてあっても、実際に豚肉、ネギ、ベビーリーフをどのように盛りつければいいのか戸惑う人もいます。
遠藤:「手描きイラスト」があればひと目でわかり、作業効率も上がるんですね。
大隈:ええ、それによって作業ミスや見た目のバラつきも減り、5人でのべ300分要していた作業が、230分程度でできるようになりました。
遠藤:一見、小さな知恵ですが、現場で働く人たちにとってはとても大きなことです。まさに、経営学者ピーター・ドラッカーが言うところの「ナレッジワーカー」(知識により付加価値を生み出す労働者)ですね。
大隈:そう言っていただけるのは光栄です。単なる栄養士、調理師ではなく、お客様のために知恵を出し続けるナレッジワーカーでありたいと思っています。
いい知恵や取り組みなど「プラス情報」を共有する
大隈:それぞれの病院や施設によって、提供する食事の内容は変わってきます。しかし、それぞれの現場が横につながることで、さまざまな情報を共有でき、その結果、作業効率が上がると同時に、ムダやミスを減らせると感じています。現場で生まれたアイデアも横展開しています。
遠藤:「情報共有」というと、どうしてもミスや失敗、事故など「マイナス情報」を共有することに目が行きがちですが、現場の知恵やいい取り組みなど「プラス情報」を共有することも大切ですね。
大隈:最近は情報共有に力を入れていて、おかげさまで業績も好調です。グループ全体で115億円の売り上げの中、葉隠勇進の給食事業は65億円です(2014年度)。
遠藤:現在でも、競合する大手企業は葉隠勇進のような手間暇がかかる給食を作れないでしょう。さらに、現場同士がつながり、作業を効率化すれば、その空いた時間を生かし、他社が太刀打ちできないスペシャルメニューも実現できる。究極の差別化につながりますね。
対談後編では、「大人が知らない! 学校給食のグルメな真実」と、一般企業でも応用できそうな、現場の知恵を共有する方法について伺いましょう。
(撮影:田所 千代美)
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