「子どもがいない夫婦」人に言えないつらさの中身 「いる・いない」で分けられがちな社会の生きづらさ(後編)
最近は逆に、子どもがいる人から「すごくいい活動だよね」と応援してもらうことも増えました。「子どもがいない人の思いや状況は、もっと世間に知られるべきだね」「こういう会がもっとあったほうがいいよね」とか。お互いそうやって理解し合えるのが一番いいかな、と思ってやっています。
――参加した人の反応は、どんな感じですか?
最初は泣いちゃう人もいるんですけれど、最後はみんな、大笑いなんですよ。みんな「わかるわかる!」って盛り上がって、「うるさくてよく聞こえません」みたいになる(笑)。来たときと帰るときの温度差が、ものすごくあるんです。みんなだんだんと、前向きになってきますよね。
――前向きになるのは、1回の参加でですか? 回を重ねるごとに?
それは結構、個人差があります。私自身はどちらかというと早く回復したほうですけれど、すごく時間がかかる人もいるので。以前アンケートを取ったら、回答がすごくばらけたんです。1、2年という人もいれば、5年以上かかる人もいる。でもそれはそれでよくて、自分のペースで、ちょっとずつ前向きになればいいと思うんです。
たとえば、こんな方もいました。最初はひと言もしゃべれなくて、一時間ずっと泣いているだけ。話しかけると「だいじょうぶです、聞いているだけで」って。でも何回か参加するとだんだんしゃべれるようになって、そのうち「サポートスタッフをやりたいです」と言ってくれたりして。「変わったって言われるでしょ?」と聞くと「夫にもすごく明るくなったって言われます」と。みんな、憑き物が落ちていくような。
稀に、何年経っても同じ位置にいる方もいますけれど、たぶんそれはそれで、自分の心のバランスがとれているんだと思うんですね。必ずしもすぐに立ち直らなきゃいけないわけではないし、子どもが欲しかった思いをゼロにしなきゃいけないわけでもない。波もあるし、それぞれの人のなかで「今の自分」を受け止められればいいんじゃないかと思います。
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