「子どもがいない夫婦」人に言えないつらさの中身 「いる・いない」で分けられがちな社会の生きづらさ(後編)
――なぜ悩んだのでしょう?
参加する方は、最初はどうしても、同質性、つまり自分と近い理由や環境を求める傾向が強いんですね。そのほうが共感するし、安心するから。それで参加者の方から「子どもがいない理由や属性ごとに、会を分けてほしい」と言われることがとても多かったので、「そうしたほうがいいのかな?」と、私も一時はすごく迷いました。
でも、それもどうなんだろうなと。世間で「子どもがいる人/いない人」で分けられるように、子どもがいない人の中で「不妊治療組」「欲しくない組」「シングル組」みたいに分けて線引きするのも違うような気がして。 それよりも、参加者がお互いに「子どもがいないと一口に言っても、こんなにいろんな考えがあるんだ」と知って、視野を広げるほうがいいんじゃないかなと。視野が広がると、「子どもがいないと幸せじゃない」みたいな考えが、ゆるんでいくところもあるんですね。
「あ、そういう考えもあるよね。そうか、私が思い込んでいただけかも」と、前向きになれたりもする。
いる人/いない人って、そんなに関係ない
――くどうさんのご本に「『子どもがいる/いない』の二項対立にしないことが大事」という言葉がありました。二項対立をやめると視野が広がるんでしょうか。
そうですね。だからマダネでは、あえていろんな方に参加してもらうことで、「どんな形の家族があってもいいよね」という方向に視野が広がればと思っています。最近は「マダネは、そこがいい」と賛同してくれる方が増えてきました。
ただし、参加者は「子どもがいない人」に限定しています。ものすごく子どもが欲しかったのにもてなくて、というセンシティブな時期の方も参加するので、「ここにいるのは子どもがいない人だけだから、安心して話してね」というところで、まずは吐き出してもらう。そうやってだんだんと気持ちがゆるんでいくと、「いる人/いない人って、そんなに関係ないよね」となっていくことも多いです。
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