「子どもがいない人生」に苦悩する女性たちの本音 表立って語れない社会の生きづらさ(前編)
――「出産のタイムリミット」なんて話が出てきたのは、10年前くらいですよね。「そんなことを今ごろ言われても」と、ショックを受けた世代でしょうか。
そうなんです。NHKで『産みたいのに産めない ~卵子老化の衝撃~』が放送されたのが2012年でした。「もっと早く知りたかった」という声は、私もたくさん耳にしました。当時、「急にハシゴを外された」ように感じた人は、妊孕性(妊娠するための力)に関する情報が乏しかった世代といえます。
――今の40代も「もっと若いときから知っていれば」と感じている人は多そうです。
今の20~30代の人たちは、ちゃんと知識があるんです。「産むなら早いほうがいい」とか「高齢になるほど妊娠出産はリスクがある」など、知っている。
妊活という言葉も一般的になり、世代間の知識ギャップみたいなものはありますね。
――くどうさんご自身は、どんな経験をされたんでしょうか。
私も若い頃は、「子どもは自然にできて当たり前だ」と思っていたんです。「できない」ということは、本当にあまり考えていませんでした。
20代のうちに結婚したいなと思っているうちに、30代になっていて。転職したら仕事が楽しくなって、結婚はいつでもいいかなと。ただ、うちの親と、当時から付き合っていた夫の親が「早く安心させてくれ」とすごくせっついてきたので、「もう、わかったよ」みたいな感じで結婚することに。
でも、子どもはもうちょっと仕事を頑張ってからでいいかなと。そのうち夫の仕事の都合で引っ越して、会社に通えなくなってフリーになったら、それもそれで忙しくなって。でも、フリーだと産休も育休もないわけです。やっと仕事をもらえるようになったのに、仕事を休めば収入もクライアントもゼロに戻ってしまう。その不安もあって、積極的に子どもをもとうと思えないでいるうちに、30代後半になっていました。
もうこの頃には「このまま子どもがいない人生も、それはそれでありかな」とは思っていたんですけれど。でも、40を超えた辺りで子宮の病気が見つかり、お医者さんに「もう産むことは難しい」と言われて、初めてショックを受けました。「産まない」と「産めない」の違いに、落ち込みましたね。
――「しない」のと「できない」のは、全然違うんですね。
ただ、産めないという事実を受け入れるのは結構早かったと思うんです。性格的なものと、40を過ぎていたこともあって「まあ、しょうがない。どのみち子どもを産めた可能性は少なかったよね」と。「だったらもう、その人生をいかに楽しく生きるかにシフトしたほうがいい」と割り切っていったんですね。
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