女性が「戦力ダウン」する組織は何が問題か 「仕事の質」は評価されているか

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でも、育児の場合、確かに休む頻度は高まりますが、育児や介護をしていなくても、本人がインフルエンザになることだってあります。そういうときにどういう物言いをするか、どういう対応をするか。これは、仕事に対する姿勢・態度、コミュニケーションや仕事の進捗管理の問題だと思います。

こういったときの対応は、ひとつの能力や職務態度として、評価されていいはずです。そしてそれが質の部分として、将来の仕事につながっていく感覚を育児中の社員たち本人が持てたら。結果的にモチベーションも上がり、多少仕事をする時間も伸ばせるようにもっと頑張ろうという、より積極的な行動につながる可能性もあります。

看護休暇などを整えて、育児中の社員が働きやすくしているカイシャも増えてきました。でも、休みやすくするのと同時に考えてほしいのは、休んだ前後の対応がしやすい働き方の設計です。普段から情報共有がしやすいチームとしての仕事の仕方や、家からフォローできる在宅勤務やテレビ会議の枠組みなど。

経営者の皆さん、管理職の皆さん、現場の社員たちの「お互いさまという思いやりの気持ちと感謝の気持ち」に頼るのは、マネジメントの仕事を放棄していないでしょうか

評価制度も働き方の見直しもないままに、休みやすい制度だけ入れても、会社に残るのが精いっぱいで、第2回で書いたように育児といったケア責任を持つ人たちが活躍し、意思決定の場に上がっていくまでにはならないのです。

そもそも、育休で休んだ間は昇進を据え置くのかどうか、期中で復帰した場合その期の評価はどうするのかなどを、明示化できていない会社も驚くほど多いのです。話を聞いていると、復帰後の人事考課で理不尽な思いをしてモチベーションを下げる女性は決して少なくありません。

次回は、こうした多様な働き方をうまく評価し、多様なメンバーの意欲を維持できる組織を作ることが組織にとってもプラスに働くはず!という話をしたいと思います。

中野 円佳 東京大学男女共同参画室特任助教

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なかの まどか / Madoka Nakano

東京大学教育学部を卒業後、日本経済新聞社入社。企業財務・経営、厚生労働政策等を取材。立命館大学大学院先端総合学術研究科で修士号取得、2015年よりフリージャーナリスト、東京大学大学院教育学研究科博士課程(比較教育社会学)を経て、2022年より東京大学男女共同参画室特任研究員、2023年より特任助教。過去に厚生労働省「働き方の未来2035懇談会」、経済産業省「競争戦略としてのダイバーシティ経営の在り方に関する検討会」「雇用関係によらない働き方に関する研究会」委員を務めた。著書に『「育休世代」のジレンマ』『なぜ共働きも専業もしんどいのか』『教育大国シンガポール』等。

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