育児中、その時期の報酬は多少下がっても、能力は認めてもらえ、ちゃんと期待され、次の仕事を任せてもらえること。この見通しが立たずに、しかも長期的にリカバリーが見込めなければ、優秀な人ほど流出します。企業としても非常にもったいないことをしています。
質を上げるための技能と努力
育児中の社員が職場で評価されないとき、育児のために早く帰ったり突発的に休んだりすることと、そういうときに取るべきコミュニケーションが不十分であることが混同されていることも多いと感じます。「問題行動」は後者の場合であって、育児のために早く帰ることイコール問題、ではないはずです。
私は、育休復帰後に同僚より早く家に帰るようになってから、可能なかぎり、原稿は締め切りの3日前くらいには提出するようにしていました。新聞社では、掲載前日など、締め切り当日の夕方に原稿を出して、その夜、上司からの問い合わせに対応したりしますが、私にはこのような夜間対応ができません。その代り早めに出して、「当日の夜はいないので、この日の昼までにフィードバックください」と言っておくようにしていました。
つねに「急きょ、明日休むことになっても大丈夫なようにしておく」ことも心掛けていました。いざとなったときに職場にいかずとも、遠隔で作業ができるように、引き継ぎや共有を万全にしておく。不在がちだと仕事の進捗が心配されやすいので、「今、ここまでできているので、今週中にこれだけやって出します」などと事前に伝えておく。人に仕事をお願いしないといけないときは、バーターで何かを申し出る――。
多くの育児中社員はこのような努力をして、生産性を上げようとしていると思います。別に育児中でなくたって、効率的に仕事を終えることは評価されていいはずです。
もちろん、クライアント対応をしないといけない仕事だったり、私と同じ新聞社でも当日発生したニュースを書く部門だったりすると、早めに終わらせておくということが難しい業務もあると思います。夜の会議や接待が多い環境だと、「後でフォローをお願いします」と言っても、フォローされるばかりになってしまって、バーターが難しいことも多いでしょう。これは環境要因も大きいです。
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