老後「2000万円では足りない」と言う60代の資産額 マスコミの刷り込みで「目標額」になった現実

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このグラフからは3つのことわかります。まず一目でわかるのは、保有資産が増加するほど(グラフでは横軸で右側に行くほど)、満足度が高まる(縦軸で上に行く)という関係です。これは単純で、お金があるほど満足度が高くなることを示しています。これが第1のポイントです。

ただ、グラフの形状を見ると上に凸型になっていて、これが2つ目のポイントです。保有する資産額と満足度の関係が途中で変化し、その金額が2000万円辺りにありそうな感じです。

2000万円くらいまでは、保有する資産が増えると満足度の高まりが大きく、そこから先になると資産額が増えてもそれほど満足度が高まらないという姿を示しています。

3つ目のポイントは、生活全般の満足度の線がつねに資産水準の満足度の線よりも上にあることです。同じ資産額でみると、生活全般の満足度のほうがつねに資産水準の満足度よりも高いという意味です。特に、保有資産額が少ない、例えば2000万円より少ない場合には、その差が大きいことも特徴として言えます。

マスコミによる刷り込みが満足度に影響?

このグラフの示していることを言葉にしてみると、「満足度の目標は2000万円あたりにあって、それを超えると資産が増えてもそれほど満足度は高まらない」「持っているお金の水準に関しては満足できていないが、ほかのことを考慮すると生活全般では満足している」というところでしょうか。退職後の生活の入り口にいる60代6503人の全体像が、「資産2000万円に向けて満足度が急速に高まるという姿を示している」ことが、マスコミによる刷り込みの結果かもしれません。

では退職後にいくらあれば足りるのかーー。実は答えはそんなに簡単なものではなく、様々な要素が関わって変わってきます。マスコミで大きく伝えられてしまった「2000万円あれば安心」など単一な結論はありません。これについては次回、説明をしたいと思います。

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野尻 哲史 フィンウェル研究所代表

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のじり・さとし / Satoshi Nojiri

合同会社フィンウェル研究所代表。1959年生まれ。一橋大学商学部卒。山一証券経済研究所(のちに同ニューヨーク事務所駐在)、メリルリンチ証券東京支店調査部(のちにメリルリンチ日本証券調査部副部長)、フィデリティ投信(のちにフィデリティ退職・投資教育研究所所長)を経て、2019年5月、定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立。資産形成を終えた世代向けに資産の取り崩し、地方都市移住、勤労の継続などに特化した啓発活動をスタート。18年9月より金融審議会の各種ワーキング・グループ、タスクフォース委員に就任。行動経済学会、ウェルビーイング学会会員。

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