それはともかくとして、「2000万円という数字が60代にどんな影響を与えているのか」をアンケート調査から探ってみました。フィンウェル研究所が行った2023年の「60代6000人の声」では、「老後2000万円問題」を60代がどれくらい知っていて、どう評価したのかを聞きました。
老後2000万円問題を「議論の内容まで分かっている」と答えたのは、なんと6割、「聞いたことがある」まで加えると9割を超えました。やはり60代ですから切実感は強かったんだとわかります。ただ、私が興味深く感じたのは、その9割強の人に聞いた「老後2000万円問題」への評価です。
2000万円問題は金額の問題なのか
ここでは、選択肢を2つのグループに分ける工夫をしました。1つは、老後2000万円問題を「老後の資金と年金の問題」として捉えたもの、もう1つは「2000万円という金額の問題」として捉えたものを選択肢として並べ、6つの中から選んでもらうようにしました。
結果、金額の問題とみる選択肢を選んだ人は過半数の52.7%に上り、「それでは足りない」との意見が相対的に多いこともわかりました。ちなみに「2000万円では足りない」と答えた人は26.8%、「2000万円くらい必要」は14.8%、「2000万円も必要ない」は12.1%でした。
それぞれの回答者グループの平均資産額も計算してみたところ、「2000万円では足りないと思う」と回答した人の保有資産額は3600万円強に達していました。2000万円では足りないと思ったので、それを上回る資産額を作る努力をしたというよりは、「自分はその規模以上の資産を持っていること」を背景にして、「それでは足りないと思う」というある種、余裕の発言なのかもしれません。
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