そう考えてみると、「2000万円くらい」だと評価した人の保有資産額平均は2400万円、「2000万円も必要ない」と評価した人の平均は1700万円くらいときれいに整合的になっているのもわかります。2000万円問題の評価の真相は、自身が保有する資産水準を前提にそれを肯定しようとしたものなのかもしれません。
「老後の生活資金を考えるきっかけになった」
一方、金額そのものではなく、「老後に“年金以外に多額の資産が必要”であること」を重視して評価した人は47%弱でした。そのなかで、27.7%と多くを占めたのが「年金がしっかりしなければならないのに、その結果を個人に押し付けることは納得できない」との指摘でした。
これは当時のマスコミの取り上げたポイントの1つで、ちょうど参議院選挙の真只中だったこともあって、これが意識的に大きく議論されたことが影響したのではないかと思います。ちなみに、この人たちの保有資産額の平均は1525万円強と最も少ない金額だったことも特徴です。
ただ、12.8%、つまり8人に1人が「老後の生活資金を考えるきっかけになった」という前向きな評価もしていて、批判的な指摘ばかりではありませんでした。この層の保有資産額の平均は、2326万円強と2000万円を上回っています。
さらに「2000万円問題」は60代の生活満足度に影響を与えているかもしれない、という視点で数字を見てみたいと思います。次のグラフをみてください。これは、保有する資産額と生活全般の満足度、資産水準の満足度との関係を示したものです。
なお、満足度は、「満足できる」(評点5)、「どちらかといえば満足できる」(評点4)、「どちらともいえない」(評点3)、「どちらかといえば満足できない」(評点2)、「満足できない」(評点1)の5段階で聞いて、その評点の平均を取っています。
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