タワマンの「学歴成金」家族を狙う私立中学の実態 中学受験×タワマン文学対談<後編>
窓際:最難関の女子校の大学進学実績が医学部に偏るのもそこに理由がありますよね。どんなに賢くても、女性だと社会に出てから不利になるので、手に職を付けさせようと。
本当に医者になりたいと思っているならいいですけど、親や学校に誘導されているなら気の毒です。海外ならビジネスの世界でバリバリ活躍できる優秀な女の子がみんな医者を目指すしかない社会ってもったいないなと。
コンクリートジャングルに住んでいる子どもたち
おおた:ジェンダー・ギャップやジェンダー・バイアスがあることで、女性も男性もどっちも割を食っている。そこを是正するための教育って、より多くのひとが幸せになれるより良い社会をつくっていくうえで、やっぱりSTEAM教育やグローバル教育よりも優先順位が高いと思います。
主権者教育なんかも同様に重要だと思いますけれど、そういう視点で学校を見るひとが増えないかなって。
窓際:それは素晴らしい視点ですね。結局のところ、私たちの本に共通するメッセージとしては、親が自分を客観視することが大事だということなのかなと。
おおた:中学受験をしていると、どうしても不安とか迷いとか焦りとか、そういうものにとらわれがちになると思います。でもそれは親をやっている以上、逃げられなくて、中学受験をしなくても必ずどこかで経験することです。中学受験だとそれがほんの数年間に凝縮されてなだれのようにやってくるから大変だという面はあるのですが。
親の課題のブートキャンプみたいな感じで、しんどいことに挑戦しているので、しんどいのは当然で。そのしんどさから逃げるんじゃなくて、それをどうやって自分の成長につなげるかって視点に立つことが重要なんだと思います。それが客観的になるということではないでしょうか。
窓際:おっしゃるとおりですね。
おおた:それと、窓際さんの作品の中に「コンクリートジャングルに住んでいる子どもたち」という表現があったかと思いますが、アラスカの氷原の子どもたちも、アフリカのサバンナの子どもたちも、南太平洋の孤島の子どもたちも、みんなそれぞれの環境でたくましく生きていく力をもっているんだから、都会のコンクリートジャングルの子どもたちにも必ずその力がある。
子どもに対するそういう信頼の念を忘れないでほしいと思います。自分の不安よりも、子どもに対する信頼を、親の心の中心に据えるべきだと思います。
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