なぜか慕われるリーダーが実践する「小さな工夫」 「5つのうち、2つだけ」伝えるのがなぜ良いか

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試合が終われば、メディアの取材にもキャプテンが答えなければならない。

キャプテンはチームの代表、言ってみれば“顔”だ。トヨタでは僕の発言が「チームの言葉」にそのままなってしまうし、場合によっては、チームのオーナー企業である「トヨタ自動車の言葉」として広がってしまう。

だから、ここでも伝え方には注意を払わなければいけない。このように伝える場面や状況、相手は様々で、それによって伝え方のポイントは変わるのだが、「どうやったら人に正確に伝わる」かを考え続けるという点は変わらない。

伝える時に、常に僕が意識しているのは「クリアに、シンプルに、伝える」ことだ。

伝えるには内容の取捨選択を

例えば試合中や練習中、ごく限られた短い時間内でチームメイトにプレーの修正点や問題点を正確に伝えなければいけない時。数十秒程度の時間で、絶対に必要なことを全員に伝えるためには、自分の言いたいことを、まず、ほとんど捨てる。

言いたいことが5つあったとしたら、実際に伝えるのは2つだけ。3つあるのなら、そのうち1つだけしか伝えない。優先順位の高いものだけにサッと絞って伝え、切り捨てた残りは試合が終わった後に、じっくりフィードバックする。

修正点や問題点は、1つを指摘している間にたくさん次から次へと出てきてしまうし、どうしても言いたくなってしまうものだ。それを一度に全部伝えようとすると情報量が多過ぎる。聞き取るほうが整理しきれず覚えていられないし、すぐに修正しなければいけないことが意識に残らなくなってしまう。

伝える人数も多いので、たくさん修正点を伝えると1人1人がフォーカスするものもバラバラになってしまう。「AとBとCとD、そしてEがダメだから修正しよう」と伝えた時、ある選手は「AとB」を意識していたとして、別の選手は同じ話を聞いて「CとD」を意識するかもしれない。さらに別の選手は「AとE」かもしれない。「修正すべき問題」がバラバラで、チームの意思統一ができていないことになる。

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