なぜか慕われるリーダーが実践する「小さな工夫」 「5つのうち、2つだけ」伝えるのがなぜ良いか
誰でも人は自分の言葉で伝えようとすると、どうしても感情が出るものだ。喜怒哀楽が自然と溢れ出てしまう。
でもそれでいい。僕は伝えたい時には感情も隠さずに、自分の喜怒哀楽も相手に全部さらけ出してしまう。
あれはトヨタでのキャプテン2年目、2018―2019年シーズンの開幕戦、サンゴリアス戦だった。
トヨタはそれまで数シーズン、サンゴリアスに勝てていなかったが、その試合では前半から終始トヨタがリードを保ち続けていた。緊迫した接戦だったが、20対25とトヨタ5点リードのまま後半ロスタイムまで持ち込んだ。試合終了のホーンが鳴るまであとほんの少し、久しぶりのサンゴリアス戦勝利まで、あと一歩のところまで来ていた。
チームを勝利へ導く言葉の力
だが、サンゴリアスの最後の反撃を受けて、僕たちは自陣ゴール前にずっと釘付け。トヨタはペナルティーを繰り返しているという状況でもあった。
その状況下のブレイクダウンで、痛恨のペナルティーを犯してしまったのは僕だった。僕は“シンビン”10分間の退場処分に。その後、チームは結局、サンゴリアスにペナルティートライで7点を奪われて、逆転負けを食らってしまった。
試合終了の瞬間、僕はめちゃくちゃに泣いていた。キャプテンとしてあまりに不甲斐なくて、泣きながらメディアの取材に臨み、こう言葉を絞り出した。
「ただただ悔しい。“今度対戦したら絶対に勝つ”とチームが1つになれたことが唯一の収穫です」
それまでは、取材でも自分の言葉で話しているように見えて、これまで自分が見てきたキャプテンたちの言葉を、気づかないうちに真似していただけだったのかもしれない。どこかで聞いたような“キャプテンらしい言葉”を話していただけだったのかもしれない。
だが、この時は悔し涙と一緒に、自分の思いが率直に出た。
メディアを通じて、その「自分の言葉」がチームメイトに伝わった。その試合から4か月後、カップ戦の決勝で再びサンゴリアスとぶつかった時、泣きながら伝えた「今度対戦したら絶対に勝つ」の言葉通り、雪辱を果たして優勝を勝ち取ることができた。
チームの調子や状況が上がったから、チームがよりグッと1つになってチーム力が上がったからサンゴリアスを上回れたのだが、その1つのきっかけとして、言葉の力もたしかにあったはずだ。
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