なぜか慕われるリーダーが実践する「小さな工夫」 「5つのうち、2つだけ」伝えるのがなぜ良いか

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チーム全員、同じ画を見ることができていると、例えばアタックひとつとっても、全員が自然と完璧に動けてしまう。トライまでのランニングコースやフォローの入り方、ボールをパスするタイミング……等々、誰も間違わない。

「自分がすべきこと」が全員見えていて、トライまで同じ道筋を描けているからだ。こういう状況になると、チーム全員で同じ方向に向かって戦える。だから強い。

ラグビーはチーム力を競うスポーツだ。どれだけ素晴らしい選手をどれだけたくさん集めても、選手個々人が「こっちで大体合ってるよな」というくらいの意識でぼんやり大体の方向を向いている状態では、持っている力の100%どころか60%も出せない。

だが、グラウンドに立つ15人、リザーブメンバーを含めた23人全員がコネクトできていれば、チーム力は120%にも150%にもなる。

そのために、まず全員でハドルを組む。

「横の人とまず繋がってくれ」

「隣の人とコミュニケーションをとってくれ」

自分の隣にいる選手と肩をしっかり組んで繋がる。隣の選手は、そのまた隣の選手と繋がる、その選手はさらにその隣の……そうやって全員で肩を組む。組んだら、声をかける。

「みんな、オレの目をしっかり見ろ」

これを「アイズ」と呼ぶ。僕の言葉に100%意識を向けてもらう必要がある時には、1人1人と視線を合わせることで、「リーダーの話を受け止める」ことにフォーカスさせる。

リーダーを媒介にして、チームを1つにコネクトさせる。そこで初めて伝えるのだ。

「自分の言葉」だけが人を動かす

ここまで書いてきたことと矛盾した表現にもなるのだが、極論を言ってしまうと、人は言葉では動かない。そういうものだと僕は思っている。

だからこそ、大切なことを人に伝えたい時には最低限、使うべき言葉がある。それは「自分の言葉」だ。

どこかで聞いたことがあるような言葉、何かの本で読んだ言葉、誰かが喋ってたことを写した言葉……それをそのまま伝えようとしても相手には響かない。

自分の言葉でなければ、聞く人の心は動かない。心が動かなければ、行動も起こさない。

聞いたことや読んだ言葉を使ってはいけない、というのではない。一度、自分の中でその言葉や意味を噛み砕いて自分の言葉にしたものでなければ意味がない、ということだ。

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