アップル「Vision Pro」が日本の建設業界を救う日 開発者が考える「ゴーグル型デバイス」の未来

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これまでもそうだったが、アップルは新しいデバイスに対して、ソフトウェア、開発環境を提供こそするが、「そのデバイスでこれをやって欲しい」という限定はしてこなかった。その理由は非常に単純で、アップルほどの規模の企業をもってして、世界中の人たちがiPhoneをどのように使うのか?という答えを持ち合わせていないからだ。

iPhoneが登場した2007年の段階で、アップルは、iPhoneで低解像度の画像を共有したり、短い縦長の動画に熱狂したり、タクシーやフードデリバリーを予約するといった使い方を想定していなかったはずだ。つまり、InstagramやTikTok、Uberの登場を予期していたわけではなく、そこは開発者や勃興したテック企業のクリエーティビティーに任されていたということになる。

つまり、Apple Vision Proの将来を占うのなら、開発者やテック企業が、このデバイスで何をやってみたいのか?と探していくことが早道なのだ。

Vision Proをかけっぱなしの人が出てくる?

Vision Proの登場は、これまで毛色が異なっていた拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の垣根を超え、より幅広い議論を巻き起こしている。

日本の開発者で唯一、WWDC23でVision Proを試すことができた開発者、小林佑樹氏。同氏はエンジニアであり、AR/VR技術を活用し社会のSpatial Computingシフトに取り組む株式会社MESONのCEOでもある。

そんな小林氏は7月13日、東京・恵比寿でXR系のコミュニティーイベント「ARISE」を開催し、日本人のVision Pro体験者4名によるトークセッションを行った。

小林佑樹氏が主催するXRのグローバルコミュニティーARISEの7月13日のイベントには、多くの開発者や企業が集まり、議論が交わされた(筆者撮影)

同氏はVision Proについて「被った瞬間が最も印象に残っている」とコメントした。

「かけて映像として見える現実空間を見たときに、歪みなどの違和感がないことに驚きました。また最初に『Hello』という文字が立体的に表示されるが、これも現実空間に違和感なく混ざっていた」

そのうえで小林氏はVision Proを「Pre-BMI」と評した。BMIとは「Brain Machine Interface」の略で、脳に直接情報を入力、あるいは脳から直接情報を出力する、脳とコンピュータを直結する仕組みのことだ。

思ったこと、何か操作したいという意思が「視線」として入力され、それをつまむ動作で動かせる、極めて直感的な操作方法を実現し、かつ視覚が正確に現実と仮想を合成できている点から、このように表現している。

こうしたデバイスが普及する近未来について小林氏は、「Vision Proだけで仕事をする人が出てくる」と予測した。このことは、AR/VRのアプリ開発者やコンテンツクリエーターにとって、非常に大きな意味を持つ。

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