敦司さんの進学した高校では、高校2年生のときに進路に応じて4つの系列から希望するコースを選択できるようになっていました。そこで、芸術系に加えて歴史・民俗学の勉強に興味があった敦司さんは「人文系列」コースを希望していたのですが、願いが叶わず「自然系列」コースに進むことになってしまったのです。
「私が学校に行かない間に、すでに学校で文理選択が行われていたので、人文系列の定員が埋まってしまったんです。担任の先生と相談して、『自然系列』を勧めてもらったので、そちらに進むことにしました。釣りが好きでしたし、就職にも強くてお金を稼げそうだなと思ったので、水産学を学べる大学に行こうと思ったんです」
しかし、勉強にはなかなか身が入らなかったようです。成績はいちばん低い時期からは持ち直したものの、低位置のままでした。一般受験で大学に進学する人が同級生に1人しかいない環境の中で、推薦で受けられる大学を探した敦司さんは、石巻専修大学の理工学部生物科学科にAO入試で合格し、進学することができました。
「東北の私立の中で唯一水産を専門にできるという学校だったので選びました。評定が足りずに推薦での受験校選びが難航する中、なんとか希望の進路に進めてよかったです」
大学3年生で通えなくなる
こうして現役で石巻専修大学に進んだ敦司さん。
しかし、大学に入ってからも勉強をする気にはなれなかったようです。同級生に助けられてなんとか3年生まで進級はしたものの、大学に行くことに疲れてしまい、3年生の1学期から通えなくなってしまいました。
「石巻専修大学はとてもいい大学でした。でも、学年が上がるごとに授業内容が難しくなって、授業を聞いても全然理解できなくなったのです。また、自分の成績が低かったことで、大学2年生のときのコース選択で希望していた水産コースに進めませんでした。実際に進んだコースの勉強に興味を持てなかったことも、学校に行けなくなった大きな原因です。自分の人生における、大きな挫折でした」
こうして敦司さんは、人生をもう一度やり直すため、文転して自身が「本当に心の底からやりたかった人文系の学問を学びなおす」ため、浪人することを決意します。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら