【熱中症】救急搬送急増「水分補給の誤解」を解説 脱水状況かどうか、見分けるカギは「トイレ」

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実は喉が渇いたとき、あるいは脱水予防としてスポーツドリンクと呼ばれるタイプの飲みものを飲む人が少なくないが、これらには、肝心のナトリウムがそれほど含まれていない。熱中症対策で勧められている経口補水液と比べると、3分の1程度だ 。

「ですので、適度にスポーツドリンクを飲むのは問題ありませんが、そればかり飲んでいるとナトリウムが足りなくなって、『低ナトリウム血症』を起こしてしまう恐れがあります。もちろんミネラルウォーターや麦茶も同様です。 熱中症予防のための水分補給であれば、昆布茶のような塩味がある飲みものを摂ったほうがいいでしょう」(伊藤医師)

昆布茶の代わりに、塩あめや梅干しといった塩辛い食べものを摂っても、もちろんOKだ。

日本人は食事で塩分をかなり摂っていることが指摘されている。だが、汗をかく夏は食事だけではナトリウムが不足しがちなので、意識して塩分を摂っていきたい。必要な塩分量に関しては水分と一緒で特に目安はなく、「自分が欲する量」を摂るとよいそうだ。

朝は水分と朝食をしっかり摂る

そのうえで、伊藤医師が勧めるのが「朝起きたときのコップ1杯の水+朝食」。

ヒトは寝ている間に500ミリリットルほどの水分が汗で失われる 。起きたときには脱水状態に陥っているため、適度な水分とナトリウムの補給が必要になる。

「ですから、起きたらまずは水分補給を。そして朝食で塩分を摂ります。朝食を摂ることで1日のコンディションもよくなるので、ダブルで熱中症予防ができるわけです。反対に、朝起きて、水も飲まず、朝食も食べず、暑い中に出て会社に向かう。実はこれがかなり危ないと思ってください」(伊藤医師)

なお、水分補給に関しては心臓病などの持病によっては、水分を控えなければならないケースもある。かかりつけ医に確認してから飲むようにしよう。

では、過ごし方に関してはどうか。

この時期はやはりエアコンが適度に効いた涼しい室内にいるのが、最大の熱中症予防になる。環境省は温暖化対策の一貫として「室温は28℃に設定」を推奨しているが、伊藤医師によると、「28℃ぐらいでも湿度が80%ぐらいあれば熱中症になる」とのこと。

「それは、湿度が高いと汗をかきにくくなり、水分が蒸発しにくくなるからです。汗は体の熱を気化熱にして、体温を下げてくれる働きがあるので、汗をかきにくい環境は、それだけ熱中症のリスクを高めます」

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