【熱中症】救急搬送急増「水分補給の誤解」を解説 脱水状況かどうか、見分けるカギは「トイレ」

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総務省消防庁によると、7月17日~23日までの全国の熱中症による救急搬送人員は、9190人(速報値)。

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

熱中症
(出所)熱中症救急搬送状況(総務省消防庁)

高齢者が5195人(56.5%)と最も多いが、18歳~65歳までの成人も2961人(32.2%)いて、決して少ない数ではない。

熱中症
(出所)熱中症救急搬送状況(総務省消防庁)

もちろん、多くの人は熱中症がキケンな疾患であり、予防が大事であることを知っている。だが、それでもかかってしまうのは、熱中症に関して誤解している点や、正しく理解していない点があるからだ。

「その1つは、水分の摂取不足です」と伊藤医師。さらにこう話す。

「熱中症対策には十分な水分を摂ることが大事なのですが、実はその量が足りておらず、脱水状態に陥っているケースが多い。実は”自分が思っている以上に水分を摂る必要がある”のです」

トイレに何回行ったかが目安に

摂取量の目安は、その日のコンディションや気温などにもよるので一概に言えないと伊藤医師。「何リットル飲むか」よりもむしろ、「トイレに行ったか」を基準に考えたほうが良いと話す。

ヒトの場合、ふつうは体重1キロあたり最低でも0.5ccの尿が1時間ほどで溜まる。体重が60キロの人だと、1時間で30ccほど溜まる計算だ。膀胱に尿が200ccほど溜まると尿意を感じるため、計算上は6時間に1回トイレに行きたくなる。

「つまり、午前中に1回もトイレに行かないというのはおかしく、明らかに水分が足りていないサインになります。トイレに行ったとしても、少しの量しか出ないとか、尿の色が通常は薄い黄色ですが、濃い黄色や茶色になっているとかであれば、脱水を起こしている可能性があります」(伊藤医師)

なお、水分の摂り方のポイントは、一度にたくさん摂らないこと。こまめに少しずつ口に含むのがよいという。

そしてもう1つは、”ナトリウム不足”だ。

実は、脱水を起こしたときに失われるのは水分だけではなく、塩分も多量に出ていってしまう。それが熱中症の発症に大きくかかわっている。筋肉痛やこむら返りはまさに、ナトリウム不足によって起こる症状だ。

だが、ここにもちょっとした落とし穴がある。

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