「ダウンタウンを見出した男」が40年経て語ること 吉本元会長がたどり着いたひとりぼっちの処方箋

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なかでもポイントとなるのは、「居場所を場所に求めない」「居場所は心の中にある」という考え方。「『この人だけはわかってくれている』という存在や、自分を守ってくれるお守りのような存在が心の中にいること。それこそ形がない、自分の居場所だと思います。あれやこれやで大変で、胸に手を当てたときに思い出せる人がいる。僕にとっては母親がそうでした」(大﨑さん)

「僕自身、ずっと居場所がないと思っていた」という大﨑さんがそれに気づいたのは、母親が亡くなってから。自分の居場所が母親だったことに気づいただけでなく、亡くなって25年以上が過ぎた今なお、その感覚は変わっていないそうです。「母親が幼稚園勤務時代の小さい名刺をお守りとして手帳にはさんで25年以上持ち歩いています」(大﨑さん)

なぜ孤独や寂しさを募らせるのか

大﨑さんの考え方は、裏を返せば「居場所を何らかの場所に求めてしまい、思うように得られない」「お守りのような存在が心の中にいない」という人が多く、だから悩んでしまうということでしょう。

(撮影:梅谷秀司)

さらにコロナ禍などの厄介な出来事が重なると、気が滅入ってしまうのも当然。母親という居場所があるはずの大﨑さん自身ですら、コロナ禍以降、著名人の自死が続いたことを尋ねた際、「自分もいつそういうふうになるかもわからない」と語っていました。

「僕なんかもうすぐ70歳だから、夜中に目覚めたりしたら、老人性うつじゃないけど、暗くなったりもするし、紙一重みたいなところもあります。その紙一重のところにいかないように、小さな楽しみというか、喜びというか、気持ちがホッとするというか、1ミリぐらいの目標でもいいので、そういうのがあればやり過ごせると思うんですよね」(大﨑さん)

ちなみに大﨑さんの母親は、祖父母が寝たきりになって家から一歩も出られず介護していたとき、「家の前の小さな池にいる金魚をじっと見ているときが唯一ホッとするときなんや」と言っていたそうです。これは「ハードな日々の中でも小さな楽しみを見い出せるような母親だったから大﨑さんの居場所になり、今なお安心感を与えている」ということなのかもしれません。

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