「サラリーマン増税」と集中砲火、税調答申の真意 入門書のような問題提起に「増税」想起は曲解

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例えば、政府税調は、2014年6月に取りまとめた「法人税の改革について」で、「企業が国を選ぶ時代にあって、国内に成長分野を確保するには、法人税率の引下げは避けて通れない」と、2015年度と2016年度の税制改正で実行されることになる法人税改革に先鞭をつけた。法人税率の引き下げを提起したのである。

通勤手当は、所得税の課税対象となっていない非課税所得として答申で挙げられてはいるが、これを直ちにどうせよとはいっさい言っていない。

確かに、非課税所得については、「政策的要請により非課税等とされている制度については、(中略)他の所得との公平性や中立性の観点から妥当であるかについて、政策的配慮の必要性も踏まえつつ注意深く検討する必要があります」と記されてはいる。

だからといって、これが直ちに「増税」を意味すると読むのは深読みにすぎる。

生命保険と金融商品は別モノか

生命保険料控除は、保険には貯蓄性、投資性の高いものが多く、他の金融商品と同様の性質がありながら、金融商品への拠出に控除がないものがある一方で、生命保険料には控除があるという不公平がある。この点について、答申では「金融商品間の税負担の公平性及び中立性に照らして問題があると考えられます」と、課題を提起した。

これを見て、生命保険料控除が見直されて「増税」になると想起したのなら、それは不公平があることを認めたも同然である。生命保険料控除は廃止・縮減しないとこの不公平はなくならない。

退職金課税については、政府税調の中期答申にも記されているが、もっと率直に切り込んだのは、新しい資本主義実現会議だった。

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