政府税制調査会が取りまとめた中期答申「わが国税制の現状と課題-令和時代の構造変化と税制のあり方-」に、増税項目がずらりリストアップされているとして話題になっている。
答申内容については、東洋経済オンラインの拙稿「嫌われ者の消費税、人生トータルだと実はフェア 目先の増税を離れ、『そもそも論』説く政府税調」で詳述したが、果たしてどれほど増税項目が列挙されているのだろうか。
「検討」=「増税」なのか?
話題になっているものを挙げると、退職金課税の強化、生命保険料控除の見直し、通勤手当への課税が取り沙汰されている。これらはまるで「サラリーマン増税だ」(旧時代的な用語法だが)、という論調もある。
確かに、前掲の項目は、政府税調の答申で触れられており、本文に「検討する必要があります」などと記されている。
しかし、答申で「検討する必要」と記されれば、すべて「増税」を意味するのか。決してそうではない。政府税調の提起=増税という見方は、曲解にすぎる。それは、本文の記述を丁寧に追って素直に解するとわかる。
筆者は政府税制調査会の委員として当中期答申の取りまとめに関わったが、本稿の意見にわたる部分は筆者の私見であり、政府税制調査会の見解を代表するものではない。
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