校則の"バイト・スマホ禁止"が時代錯誤な理由 無意味なルールが可能性の芽を摘んでいる

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さて、スマホをめぐる校則についてだ。

まずは高校。高校生に「スマホの電源を切ってカバンに入れて保管しなさい」はナイと思う。

奈良市立一条高校での例のように(2016〜2018年)、生徒個人所有のスマホをBYOD(Bring Your Own Device)で学校に持ち込ませてWi‐Fiにつなぎ、授業に100%利用することを促進すべきだ。

スタディサプリなどのオンライン教材を学校でも使えるようにする必要から、都立高でもこの動きに乗ずる気配があった。でも、まだ一部に留まっている。

なぜか?

学校でこそスマホを使いこなす

スマホを解禁すると、生徒がみだりにスマホを使用するようになり、学校が荒れて、生徒指導(義務教育では生活指導、高校では生徒指導と呼ぶ)が利かなくなることを教員が恐れているからだ。

だが、本当にそうだろうか?

一条高校での実体験から話そう。2016年には全生徒のスマホを学校のWi‐Fiにつないだ。スマホを持っていない子には簡易端末をデータ交換用に貸していた。電話をする必要はないから、貸し出しには安価なデータ端末で十分なのだ。

Cラーニングというソフトを組み入れて授業や学校の運営管理に利用していた一条高校では、2020年からのコロナ災禍で通学が難しくなった期間も、全教員が授業動画をアップすることでリモートへの対応が素早くできた。

とはいえ、「進学校ならできるが、教育困難校(昔でいう底辺校)では無理だ」と少なからぬ教員は言うだろう。そんなときは、こう答える。
「スマホで教えたらどうでしょう?」

たとえ指導が困難な生徒の場合でも、実技系の教科を中心に、スマホの動画を使った立体的なカリキュラムに仕立てれば、十分教えられるのではないかと想像するのだが、甘いだろうか。現場を知らない者の“机上の空論”だと言われてしまうかな。

だが、空論ではない。

私は教育困難校に勤務したことはないが、大阪ではなかなか厳しい府立西成高校などで「よのなか科」を教えた経験がある。

廊下から隣の公園に住むホームレスの青いビニールシートが日常的に見える学校で、「ホームレスは社会のゴミか」を討論する授業を人権担当の教員とタッグを組んで行った。実際のホームレスをゲストに招いて、である。結果は有意義なものとなった。だから、やり方次第ではないかと思うのだ。

やり方次第で、全国およそ5000校の半分くらいで、スマホを授業で活かすことは可能だと思う。スマホに使われず、あくまでもツールの1つとしてスマホを使いこなすことを学校で習得すればいい。恐れからくる禁止措置では、それこそ陰でこそこそとした悪用が増えるばかりだから。

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