コンサルタントが「嫌なヤツ」とあえてつきあう訳 ビジネススクールで学んだ人付き合いの肝

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同じ会社の友人でもいいのだが、どうしても視点が似通ってしまいがちだ。まったく違った世界の人とのつきあいからは、いろいろな刺激が受けられる。

「あいつは一流商社に入ったから、コネを持っておくと便利だ」というような発想ではない。自分と異なる世界にいる人物だからこそ価値がある。そういう意味では、同じ業界の大手企業に入った友人よりも、全然違う業種の人や芸術系の道を歩んでいる人、主婦や主夫といった家庭に入った人、あるいは定職にもつかずフラフラしている友人からのほうがよほど刺激を受けられる、ということになるだろう。

私の周りにも、シェフや芸術家といったまったく違う世界の人と好んでつきあう人が多い。普段は得られない刺激が得られる、というのがその理由だが、確かにそうなのだろう。

人脈拡大に禁じ手はない

ちなみに、そういう意味で私に多くの「異質」を与えてくれたのは、学生たちとのつきあいである。30歳も40歳も年の離れた人たちとの会話は、何が流行っているのか、どういう価値観を持っているのか、どんなことを考えているのかなど、いろいろな発見に満ちている。

特に私が教えていたビジネススクールの授業は、教師が一方的に教えるのではなく、生徒も積極的に発言するインタラクティブなものである。特に課題を与えて考えさせるというケーススタディを重視しているが、そこで出てくる学生の意見やアイデアを聞いていると、私とはまったく異なった視点からの発想もあり、多くの気づきが得られる。

例えば、戦略を教えるクラスで日本の電機メーカーの戦略について語っているときに、韓国や台湾からの留学生が、韓国メーカーや台湾メーカーがいかにアグレッシブに人材を確保したり、鍛えているかを語ることがある。それにより、私を含めた日本人は、戦略以前にリスクを取らなくなっている日本企業について考えざるを得なくなる。

あるいは、楽天やソフトバンクなどの新興企業に勤める人間から、時間こそが競争優位の源泉であるから、できるだけ素早い意思決定をして、もし間違えたらやり直せばよいという意見が出る。それに対して、伝統的大企業の人間からは、リスクはどう回避するのか、あるいはどうやって上を説得するのかなどの質問が出る。意思決定のポイントが企業によって全く異なっていることに気づかされるのだ。

人脈を広げるのに、禁じ手があるわけではない。交流会などに積極的に出るのもいいだろう。私も若い頃、転勤で大阪にいたときにある勉強会にもぐり込んで勉強したことがある。より多くの異質と触れ合う機会を大事にしたい。

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