「羽生善治」が"50代で復活できた"目から鱗な理由 脳科学から見る「強運を味方につける思考法」
ある試験の後に、自分がどの程度の成績か自己評価させてみたところ、下位4分の1にいる人は「かなりできたので上位を狙える」と答え、上位にいる人ほど「もっと成績を上げる努力が必要」という謙虚な答えが返ってきたのです。これがまさに、ダニング=クルーガー効果の好例であり、脳が持つ特定の思考癖を表しています。
ダニング=クルーガー効果に見られる自己評価を誤る思考癖は、一度手にした強運を手放さないという点でマイナスになることは、もはやいうまでもありません。
こうした思考癖は、脳の判断ミスを無意識のうちに誘発するからです。自身の能力を見誤ってしまう人というのは、はっきりとした意図を持たず、反射的な思考をして勘違いをしてしまい、ふとしたことで判断を誤ったり、実力が伴わない極めて無謀なチャレンジをしてしまいかねないのです。
自分の能力を客観的にモニタリングする
私の経験からいっても、成功している人ほど自分の実力を過大評価せず、つねに謙虚な姿勢でいる人が多いといえます。
たとえば、作家の林真理子さんがその好例でしょう。『最終便に間に合えば』『京都まで』で第94回直木賞を受賞、他にもフランス政府によるレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエや日本の紫綬褒章、菊池寛賞などを受け、2022年には日本大学理事長に就任した日本を代表する小説家です。
そんな林さんに私がいつも驚かされるのは、いつお会いしても「私はまだ自分の思うような小説が書けていない」と謙虚におっしゃることです。
まさに、林さんは自分の能力を客観的にモニタリングするメタ認知能力が高いといえるわけですが、自分を客観視しながら自分の能力におごることなく、つねに好奇心を持って貪欲に努力する姿には、自分の考え方や行動に対してつねにトライアル・アンド・エラーを繰り返しているのが見てとれる。それに尽きるでしょう。
大事なのは、自分が没頭できる何かに対して、たとえ失敗してもそこから学んだことを次に生かして何度でもやり直してみること。そのためには、日頃からこのメタ認知を意識して、「自分に足りないものは何か」をしっかりと考えながら、「今、ここ」に集中していくことが大切なのです。
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