新NISAも「インデックスファンド」だけで十分だ 金融機関の巧みな「営業」に乗ってはいけない

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さて、今年のNISA投資に使った金融機関で、そのまま新NISAの投資を行うことが可能だ。NISAに利用する金融機関を今年と来年とで変えることは可能だが、手続きが必要になるので、今年NISAで利用した金融機関をそのまま新NISAでも利用して投資を始める顧客が多いにちがいない。

対面営業の金融機関はここからが腕の見せどころだ。一方、投資家の側では、ここで間違えないことが肝心だ。

なお、自分でそこまでわかっていたら大したものだが、自分が間違えることが心配な投資家は、営業マンと顔を合わせずに済むネット証券を使うといい。自分は、既存の金融機関とのしがらみがあるとしても、例えば最近成人した子供などの家族には、ネット証券の利用を勧めるといいと思う。

「成長投資枠」もインデックスファンドでいい

さて、投資家は、新NISAをどのように使うべきか。新NISAは1年間で「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円投資可能で、それぞれ5倍の600万円と1200万円の合計1800万円の運用益が非課税になる「枠」の全体だ。

ここで肝心なのは、成長投資枠では、

(1)つみたて投資枠の商品に積み立て投資してもいい
(2)つみたて投資枠の商品に一括投資してもいい
(3)つみたて投資枠で認められている以外の適格商品に投資してもいい

という3通りの選択肢があることだ。

成長投資枠という別の名前がついているので、つみたて投資枠とは別の商品に投資するのが普通だとイメージする方がおられるかもしれないが、それは誤った先入観だ。しかも、金融機関が手数料の高い商品を売るために、思い切り利用しそうな先入観でもある。

ちなみに目下、成長投資枠の適格商品が発表されており、業界の注目を浴びている。にわかには信じられないが、「毎月分配型投資信託」はダメでも、「隔月分配型投資信託」は認められるとの報道がある。複利の効果が損なわれて資産形成に向かない点は、両者ともほぼ同じだ。

ただし、隔月分配型が利用可能だと、分配月を公的年金とズラして「自分で作る年金(のようなもの)」との高齢者向けセールスが可能になる。営業上の効果は極めて大きいだろう。金融庁は「毎月」で意地を見せて、「隔月」で妥協するのだろうか。何を考えているのか、どんな力関係なのか興味深い。

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