新NISAも「インデックスファンド」だけで十分だ 金融機関の巧みな「営業」に乗ってはいけない

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一方、インデックス投資家は、アメリカの大型株運用でいうと、市場平均を代表する時価総額ウェートのS&P500のような指数に投資する場合、かなりの程度「平均投資家」に近づいている。無駄なテラ銭をほとんど支払わない。

ちなみに、世の中には、インデックス(株価指数)には優良企業が選ばれ、ダメな企業が除外されているからインデックス投資が優れているのだと考える投資家がいるようだが、それは事実と異なる。インデックスは、日本経済新聞社やS&Pグローバルレイティング、MSCIのような会社が構成銘柄を選んでいるから良い運用対象なのではなくて、単に平均投資に近いことが好ましいのだ。

加えて、投資家が投資する「商品としての」インデックスファンドとアクティブファンドでは、前者が大量生産の工業製品のように低廉な運用管理費用で値付けされるいっぽう、後者はブランド品のような値付けになるので、手数料コストの差がさらに発生して、両者の差はいよいよ決定的となる。

いうまでもなく、インデックスファンドに投資することが有利で、アクティブファンドはダメなのだ。どちらに投資することが賢いかは明らかだ。

アメリカの大型株を主な運用対象と考えるなら、「S&P500こそ最強だ!」とまずは考えていい。これは、多くのインデックス投資家が喜びそうな結論だ。

「全世界株式」のインデックスファンドに投資しよう

一方、「平均投資有利の原則」は、日本株にも当てはめることができるし、厳密なものではないが運用競争のゲームをグローバルな株式運用とした場合、「平均投資」に近いのは全世界株式のインデックスファンドだろう。S&P500やTOPIXのインデックスファンドなど、特定の国に傾斜した組み合わせを持つのは、いわばグローバル株式のアクティブ運用になる。

アメリカなど個々の国の景気や政策に影響される余地を小さくしたいという意味でも、世界の株式に分散投資しておくことは気が楽だ。

そして、どのような名前の口座で投資するにせよ、いちばんいい商品(ないしは「商品の組み合わせ」)に投資すればいいので、新NISAのつみたて投資枠でも、成長投資枠でも、それ以外の運用口座でも、全世界株式のインデックスファンドに投資することがシンプルで、かつ「平均投資」に近い点で快適だ。

趣味や好みで運用にお金をかけることを除くなら、新NISAに関して運用対象選択の結論は出ている。読者が金融マンやFP(ファイナンシャルプランナー)に相談する必要性はいっさいない。

(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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