新NISAも「インデックスファンド」だけで十分だ 金融機関の巧みな「営業」に乗ってはいけない

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さて、資産形成に真面目に取り組みたい投資家のための新NISAの活用法を考えよう。趣味で個別株投資を行いたいという確固たる意思とスキルがあるごく少数の投資家を除くと、ほとんどの投資家には、上記3つのうちの(1)か(2)かのいずれかをお勧めしたい。

扱う対象はお金だ。「最も効率良く増やすことが期待できる商品」があれば、どんな名前の金融口座でもその商品に投資したらいい理屈だ。そして、幸いそうした商品がつみたて投資枠の中にあり、その商品は成長投資枠でも投資可能だ。「成長投資枠」という名前に心を動かされて、何か違うものに投資しなければならないと思うのはまったく愚かだ。

「確かに、それは賢くないよな」とかみしめたうえで、次に進んでほしい。新NISAで投資するのは、つみたて投資枠、成長投資枠ともに、手数料の安いインデックスファンドでいいし、同じ投資対象でいい。管理上は同じ対象に絞ったほうがよりいい、と付け加えておこう。

「平均投資有利の原則」は強力だ

率直に言って、運用業界、金融業界の大半の会社はインデックスファンドが嫌いだ。手数料が安いからである。

彼らは、インデックスファンドを「例外的なもの」として貶(おとし)める印象操作を行いたい。インデックスファンドは「初心者向けだ」「退屈だ」「右上がりの相場でしか有効でない」「理論が成り立つ世界でのみいいもの」などと決めつけようとするし、果ては「インデックス運用が増えると株式市場の価格発見機能が損なわれる」などと難癖をつける。「退屈だ」くらいは少しなら同意してもいいが、残りはいずれも間違いである。

インデックスファンドが「プロが運用し、市場平均以上の運用成果を目指すとするアクティブファンドよりも優れている」と言い切れる理由は、微妙な条件の下でのみ成立する投資理論に基づくような頼りないものではない。もっと頑健で動かしがたい理由がある。

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